RWAトークン化大手セキュリタイズ、SPAC経由で上場を検討中

RWAトークン化大手セキュリタイズが、10億ドル超の評価額でSPAC合併による上場を協議。ブラックロックも支援する同社の動向に注目。

井上 雪芽 By 井上 雪芽 黒川 理佐 Editor 黒川 理佐 Updated 1 min read
RWAトークン化大手セキュリタイズ、SPAC経由で上場を検討中

Key Notes

  • RWAトークン化大手セキュリタイズが、10億ドル超の評価額でSPAC上場を協議中.
  • ブラックロックのBUIDLファンドを支えるなど、機関投資家からの需要が背景にある.
  • SPAC上場は市場への迅速なアクセスを提供する一方、過去の失敗事例から慎重な見方も出ている.

現実資産(RWA)トークン化プラットフォーム大手セキュリタイズは10日、10億ドル超の評価額での上場を目指し、SPACとの合併を協議していることが判明した

協議相手は、キャンターフィッツジェラルドが支援するナスダック上場SPACのCantor Equity Partners II Inc.(CEPT)である。

セキュリタイズは、ブラックロックのトークン化米国債ファンドであるBUIDLのインフラを担うなど、機関投資家向けのトークン化サービスで知られている。

RWA.xyzのデータによれば、同社は46億2000万ドル相当のトークン化資産を管理している。

報道を受けてCEPT株は一時12.5%以上急騰し、セキュリタイズ側は協議が継続中であることを認めつつ、非公開企業としての選択肢も残していると述べた。

機関投資家の需要が追い風に

今回の合併協議の背景には、ブロックチェーン技術を用いた現実資産のトークン化に対する機関投資家の需要の高まりがある。

セキュリタイズは、102億ドル規模のトークン化米国債市場の45%を管理しており、その需要を裏付けている。

特に、ブラックロックのBUIDLファンドは運用資産額が半年で5億ドルから28億ドルへと急増し、市場の強い関心を示した。

同時に、暗号資産(仮想通貨)セクターでは再び上場を目指す動きが活発化している。

2025年にはステーブルコイン発行企業サークル社や、消費者向け融資企業フィギュア・テクノロジーなどが新規株式公開(IPO)を果たし、デジタル資産関連企業の上場は前年比で300%増加した。

SPACを活用する手法は、従来のIPOに比べて市場へのアクセスが迅速であり、規制の不確実性を回避しやすい利点がある。市場の変動性が高い局面において、戦略的な選択肢と見なされている。

SPAC上場の利点とリスク

過去には、仮想通貨プラットフォームであるバックトやマイニング企業コア・サイエンティフィックなどがSPACを通じて上場を果たしており、この戦略の有効性を示す事例となっている。しかし、すべてのSPAC合併が成功するわけではない。

2021年にサークルが計画していたSPAC上場が中止に追い込まれたように、実行にはリスクが伴う。

実際に、今回の報道後に急騰したCEPTの株価は48時間以内に上昇分を打ち消しており、RWAセクターの評価モデルに対する投資家の懐疑的な見方も浮き彫りになった。

このような市場の変動は、一般的な仮想通貨投資においても重要な考慮事項である。セキュリタイズは複数のブロックチェーン上でコンプライアンスを遵守したトークン発行を可能にする技術を持つ。

キャンターフィッツジェラルドの関与は、80年にわたる金融市場での実績から大きな信頼性をもたらす。最終的な決定は、SECの審査や株主の承認を経て、2026年第1四半期に合併が完了する見込みだ。

セキュリタイズには、SPACの規約に基づき、今後60日以内に最終決定を下すための期間が与えられている。

Disclaimer: Coinspeakerは公平で透明性の高い報道に努めています。この記事は正確かつタイムリーな情報提供を目的としていますが、投資助言ではありません。市場状況は急速に変化するため、投資判断の前に情報確認と専門家への相談を強く推奨します。

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井上 雪芽

Coinspeakerの専任暗号資産ライター。2020年から仮想通貨投資を始め、ビットコイン、NFT、DeFiへの投資経験がある。2025年6月にCoinspeakerに加わる。

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