2021年に仮想通貨投資を始める。以降、同分野での専門的な知識を深めながら自身のブログ・ライターとしても活動。仮想通貨に関する深い理解を活かして複数のメディアで多くの記事を執筆。初心者に寄り添った簡潔な解説を得意とする。
Key Notes
- ヴィタリック・ブテリン氏らが、取引ごとのガス使用量に上限を設けるEIP-7983を提案.
- DoS攻撃への耐性強化やネットワークの安定性向上を目的としている.
- 上限は1677万ガスに設定され、zkVMなどのスケーリング技術との整合性も図られる.
イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏と研究者のトニ・ヴァールシュテッター氏は6日、取引あたりのガス使用量に上限を設ける改善提案EIP-7983を公開した。
この提案は1取引あたりのガス上限を1677万ユニットに設定し、サービス妨害攻撃に対する耐性を強化することを目的としている。
現在のイーサリアム（ETH）では理論上、1つの取引がブロック全体のガスを消費することが可能で、これがネットワークの不安定性や攻撃の脆弱性につながる可能性があった。
提案された上限により、個別の取引がブロック容量を独占することを防ぎ、取引処理コストの予測可能性を高めるとしている。
ネットワーク安定化とDoS攻撃対策
EIP-7983は、単一の取引による過度なガス消費を制限することで、ネットワークの負荷分散を改善し、DoS攻撃のリスクを軽減する。
現在のアーキテクチャでは、悪意のあるアクターが大量のガスを消費する取引を送信し、ネットワーク全体の処理能力を麻痺させる可能性があった。
提案者らは、1677万ガスの上限を選択した理由について「複雑な取引を許可しながら、予測可能な実行範囲を維持するバランスを提供する」と説明している。
この値は、スマートコントラクトの展開や高度なDeFi取引といった現在の主要な使用例をサポートしながら、予期しない処理遅延を防ぐよう設計されている。
EIP-7983は、ブロックガスリミットとは独立して機能し、バリデーターが設定するブロックガスリミットに関係なく実施される。
上限を超える取引は特定のエラーコードで拒否され、イーサリアム仮想マシン（EVM）は取引プールに1677万ガスを超える取引を含めない仕組みとなる。
zkVM互換性とスケーリング技術の発展
この提案の重要な側面は、ゼロ知識仮想マシンとの互換性向上にある。
ガス上限の設定により、大規模な取引をより小さく管理しやすい単位に分割することが促進され、分散証明システムへの参加が改善される。
zkVMの回路設計がより予測可能になることで、zk-rollupのようなイーサリアムのスケーリング技術の発展が後押しされる。
EIP-7983は今後、コミュニティでの議論、各種クライアントでのテスト、テストネットでの展開を経て、最終的にハードフォークによって実装される見込みだ。
この変更により、イーサリアムネットワークの安定性とセキュリティが大幅に向上し、他のアルトコインとの技術的差別化が図られることが期待されている。
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