仮想通貨(ビットコイン)は、過去に何度も大きな暴落を経験してきました。
暴落が起きるたびに、「なぜビットコインが急落したのか」「今はビットコインの買い時か、それとも売るべきか」と悩む方も多いでしょう。
そこで本記事では、暗号資産(仮想通貨)の暴落に関して以下の内容を解説していきます。
下落には必ず原因があり、それを事前にパターン化して理解しておけば、ビットコインの暴落が止まらず不安な場面でも落ち着いて対応できるようなるでしょう。
ビットコインの今後の暴落への対策方法を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
仮想通貨の暴落要因の整理を行う前に、まずはビットコインの現在の値動きを押さえておきましょう。
2025年に入ってからの値動きを振り返ると、ビットコインは大きな上昇トレンドを描いていることがわかります。5月に史上最高値を更新すると、その後も7月・10月と連続して最高値を塗り替えました。
ただ、こうした堅調な相場は、同時に非常に割高な水準にあることを意味します。
過去の市場サイクルを踏まえると、現状が一旦のピークであり、2026年は年間をとおして下落基調になるという予測もあります。好調な局面だからこそ、突発的な暴落にはより注意が必要です。
なお、より詳しい見通しはビットコインの価格予想記事で解説しています。興味がある方はぜひそちらもご覧ください。

仮想通貨市場はこれまでに幾度かの大暴落を経験してきましたが、その裏には常に明確な原因が存在します。
本章では、仮想通貨が暴落する主な要因や仕組みを整理していきましょう。
仮想通貨市場の動きは、マクロ経済の動向と深く結びついています。
例えば景気が後退すると、投資家がリスク回避の姿勢を強め、仮想通貨市場からの資金流出が起きやすくなります。
逆に好景気であっても、インフレ抑制のために世界各国が引き締め政策を実施すれば、景気減速の懸念から市場にリスクオフムードが広まってしまうことがあります。
このように下落につながるパターンは複数考えられますが、いずれにしても世界の経済サイクルと仮想通貨市場は、切っても切り離せない関係にあります。
さらに、戦争や自然災害などの地政学的リスクも、相場を揺るがす重要な要因になり得ます。
地政学リスクによって通貨不安が高まる局面では、「ビットコインが逃避先になる」と考えられがちです。
ただ実際には、短期的なリスクオフにつながり、価格の急落を招くケースが少なくありません。
仮想通貨市場は依然として発展途上にあり、各国の規制強化が価格に影響を及ぼすことがあります。特にアメリカや中国、EUといった主要国の規制動向は、市場に大きなインパクトを及ぼします。
過去には、アメリカ証券取引委員会(SEC)が取引所や発行体に対して取り締まりを強化する動きを見せ、「市場が縮小するのでは」との懸念からリスクオフ基調が強まったことがあります。
中国でのマイニング規制、EUにおける環境面からの制限強化なども、相場にマイナスの影響を与えてきました。
こうした規制のニュースがSNSなどで拡散されると、短期投資家の売りが連鎖し、相場が一気に崩れるケースがよく見られます。
仮想通貨市場では、大口投資家(クジラ)の動きも重要な影響要因となっています。
ブロックチェーン上ではウォレット間の送金や取引履歴が可視化されており、例えば「クジラが売却のためにBTCを取引所に送った」という情報が確認・拡散されると、市場心理が一気に冷え込むことがあります。
実際に大口が売却を始めると、連鎖的なロスカットや自動売買の売り注文が発動し、短期間に数十%下落するような急落相場が生まれることも珍しくありません。
特にレバレッジ取引の比率が高い仮想通貨市場では、この「清算の連鎖」が暴落の引き金になるケースが多く見られます。
そのため、クジラの資金移動や取引所への送金動向を定期的にチェックしておくことは、リスク管理の観点から非常に有効です。

ここでは、代表的な3つの暴落事例を取り上げ、それぞれの流れと背景をおさらいしていきましょう。

2017年後半、ビットコインは世界的な仮想通貨投資ブームを巻き起こし、市場はいわゆる「ビットコインバブル」を迎えました。
日本でも当時、ビットコインの知名度が急速に高まり、仮想通貨の売買で億り人になる投資家も現れました。
しかし、2018年に入ると状況は一変します。
金融当局による規制強化の動きが世界各地で急速に進み、特に韓国や中国では仮想通貨取引の制限が相次ぎました。
また、ICO(トークン発行による資金調達)投資ブームの衰退も重なり、市場全体が急速に冷え込みます。
結果として、ビットコインはわずか1年でピークから約80%も大暴落、イーサリアムなど他の銘柄も漏れなく暴落していきました。
この仮想通貨バブルの崩壊は、過熱した投機的相場の反動と規制環境の悪化が重なって起きた、典型的な暴落の事例だと言えるしょう。

新型コロナウイルスが世界的に蔓延した2020年、各国政府は経済の落ち込みを防ぐため、大規模な金融緩和策を次々に打ち出しました。
この政策によって市場には潤沢な資金が供給され、2021年にはビットコインが6万ドルを突破するなど、かつてない上昇相場が生まれました。
しかし、コロナ禍の終息とともに経済活動が再開すると、過剰流動性を背景に世界的なインフレが急速に進行。
インフレ抑制を目的として、各国が金融緩和から引き締め政策へと一斉に転換したことで、投資マネーはリスク資産から急速に流出していきました。
その流れの中で、無担保型ステーブルコインUST(Terra)の崩壊や、大手取引所FTXの破綻といった業界内部の信用不安も発生。
結果として、それまで好調だった仮想通貨市場は雪崩を打つように崩れていきました。
この「コロナバブル」の崩壊は、マクロ経済の引き締めと、仮想通貨関連プロダクトの構造的脆弱性が同時に作用した事例として記憶されています。

直近では2025年初頭の米中貿易摩擦が、仮想通貨市場を強く揺さぶりました。
トランプ政権はアメリカの貿易赤字や先進国との製造・輸出競争の弱体化を問題視し、輸入品への関税強化を通じて“アメリカ・ファースト”を鮮明化してきました。
特に、中国からの輸入品に幅広く追加関税を課す方針を打ち出し、世界経済に不安が広がります。当然、中国も報復としてアメリカ製品への追加関税を打ち出し、両国間の緊張は急速に高まりました。
この報復合戦の激化を受けて、投資家のリスク回避姿勢が強まり、ビットコインをはじめとする仮想通貨市場からも多額の資金が流出していきました。
ただし、その後の米中協議で停戦合意が成立すると、市場心理は急速に回復。
不安定な状況は長引かず、2018年や2022年のような大規模バブル崩壊に比べれば、今回は短期間で落ち着きを取り戻しました。
この一連の出来事は、国際的な政治・経済状況が仮想通貨市場にも強い影響を与えることを改めて示した事例と言えるでしょう。

仮想通貨市場は価格変動が非常に激しく、特に暴落が起きた際には、多くの投資家が不安や焦りを感じるものです。
ここでは、そんな局面を乗り切るうえで有効な対処法を3つご紹介します。
暴落が起きた際、まず意識すべきは原因の把握です。短期的な投機による売り圧力なのか、マクロ経済や規制の影響による長期トレンドの変化なのかを見極めることが重要です。
たとえば、ニュースで大口投資家(クジラ)が資産を売却したことや、特定の国で規制強化が発表された場合は、短期的な急落の可能性があります。
この場合、冷静に保有資産の評価やポジションを整理し、無理に追随して売買する必要はありません。
一方、マクロ経済の大きな変化や市場全体のトレンド転換が示唆される場合は、将来的な価格下落のリスクを見越した戦略が必要です。
冷静に原因を整理することで、次に取るべき行動の優先順位を明確にできます。
暴落時にはパニック売りや衝動的な買いが増えやすく、冷静な判断を失いがちです。感情的な売買は多くの場合、損失を拡大させる原因となります。
自分の判断に迷いが生じたら、一時的に相場から距離を置くことも有効です。スマートフォンや取引画面を閉じ、ニュースやSNSから離れるだけでも、冷静さを取り戻す助けになります。
また、日々のトレード戦略やルールを事前に決めておくと、暴落時でも感情に流されずに行動できます。
「含み損が◯%を超えたら一度手仕舞う」など、あらかじめ具体的な基準を持っておくことが、感情的な取引を避ける上で非常に有効です。
暴落局面で多くの投資家がつい避けてしまう行動のひとつが「損切り」です。
「もう少し待てば戻るかもしれない」と期待して保有を続けるケースは珍しくありませんが、その判断がかえって損失を拡大させることもあります。
損切りは決して“失敗”ではなく、資金を守るためのリスク管理の一環です。
暴落が一時的なのか、トレンド転換による本格的な下落なのかを見極め、必要に応じて早めにポジションを整理することが重要です。
一度損切りを行えば、冷静な視点を取り戻し、次のチャンスに資金を回す余裕も生まれます。
特にレバレッジ取引をしている場合は、損切りの遅れが強制ロスカット(清算)につながる危険性もあるため、損切りラインをあらかじめ決めておくことが、長く市場で生き残るための鉄則といえます。

仮想通貨市場で暴落が発生すると、「今が買い時なのでは?」と考える投資家は少なくありません。
確かに暴落局面は、割安な価格で仕込める絶好のチャンスにもなり得ます。しかし、判断を誤れば“チャンス”が一転して“大きな損失”につながる危険もあります。
本章では、暴落時に仕掛けを検討する際に押さえておくべきポイントを整理していきます。
暴落直後は確かに価格が安く見え、買いのチャンスのように思えるかもしれません。しかし、投資の世界には「落ちるナイフは掴むな」という格言があります。
これは、下落中の資産を慌てて買うと、さらに価格が下がって大きな損失を被るリスクがあるという教えです。
暴落発生時、ビットコインなどがどこまで下がるかを見極めるのは容易ではありません。
そのため買い時を探る際は、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の両方を組み合わせて、タイミングの根拠を持つことが重要です。
例えばRSI(相対力指数)や移動平均線で「売られすぎ」のシグナルを確認したり、ニュースや経済指標から「下落の原因が一時的かどうか」を判断したりすることが有効です。
こうした複合的な視点を持つことで、感情的な逆張りを避け、リスクを抑えたエントリー判断ができるようになります。
暴落が「買い時」になるかどうかは、銘柄によって大きく異なります。
ビットコインやイーサリアムといったメジャー銘柄は市場の中核を担う存在であり、暴落後も資金が戻りやすい傾向があります。
実際、過去の暴落後もこれらの主要通貨は中長期的に回復を遂げてきました。
一方、マイナーなアルトコインや投機色の強いミームコインの場合、暴落をきっかけに市場から姿を消すケースも少なくありません。
したがって暴落時に購入を検討する場合は、銘柄の信頼性や流動性、開発状況を慎重に見極めることが重要です。
単に安く見える銘柄を狙うのではなく、「将来的に生き残るプロジェクトかどうか」を重視することで、結果的に安定したリターンを得られる可能性が高まります。
暴落時の立ち回りは、買いだけが選択肢ではありません。下落トレンドが長期化すると判断した場合は、先物取引でショート(売り)ポジションを取るという戦略も有効です。
ショートを仕掛けることで、価格がさらに下がった際に利益を得ることができます。また、現物で仮想通貨を保有している場合には、ショートポジションがリスクヘッジとしても機能します。
ただし、先物取引はレバレッジを伴うため、より厳格なリスク管理が欠かせません。
トレンドの流れを意識しながら、冷静にリスクをコントロールして活用することが重要です。

暴落局面で失敗を防ぐためには、あらかじめ典型的な失敗パターンを理解しておくことが効果的です。
ここでは、特に多くの投資家が陥りやすい3つの代表的なパターンを紹介します。
暴落時、多くの投資家が犯しやすい失敗のひとつが、塩漬けや計画外のナンピン買いです。
「価格が戻るまで持っていれば大丈夫」と考えて売らずに放置するケースや、下がったからといって根拠のない追加購入を繰り返すケースです。
塩漬けは短期的な心理的安堵にはなりますが、資金が拘束されるため、別の投資機会を逃す原因になります。
また、戦略外のナンピンは、元の投資計画やリスク管理の範囲を超えた資金投入につながり、暴落が長引くと損失が拡大する可能性があります。
重要なのは、事前に設定したルールと資金配分を守ることです。冷静さを失わず、戦略外の追加購入は避けるべきです。
ビットコインなどの暴落時には、SNSや掲示板、仮想通貨ニュースサイトでさまざまな情報が飛び交います。
「仮想通貨に将来性はない、オワコンだ」「今日買わないとチャンスを逃す」といった極端な意見もあり、特に暴落を初めて経験する投資家ほど、その影響を受けやすい傾向があります。
しかし当然ながら、こうした情報にはポジショントークも多く含まれており、必ずしも信頼できるとは限りません。
鵜呑みにして売買を行うと、暴落中のパニック売りや、根拠のない追加入金など、損失につながる行動を取りやすくなります。
暴落時こそ他人の声に流されず、自身の分析と信頼性の高い客観的なデータをもとに判断することが重要です。
予想外の暴落によって、致し方なく損失を被ることは誰にでも起こり得ます。
ただ、その時に「すぐさま損失を取り返してやろう」と普段と異なる行動を取るのは避けるべきです。心理学的に「損失回避バイアス」と呼ばれる現象が働き、冷静な判断を鈍らせてしまうからです。
レバレッジをかけて追加入金したり、高ボラティリティの草コインに飛びついたりする行動は、そのバイアスが損失をさらに拡大させる典型的なパターンです。
こうした場面では、一度冷静に立ち止まり、損失を受け入れたうえで次の戦略を練ることが最も安全な対応です。

仮想通貨を安全に運用するためには、あらかじめ戦略と環境を整え、常に冷静な姿勢で市場と向き合うことが大切です。
ここでは、そのために意識しておきたい3つのポイントを紹介します。
まず重要なのは、リスクを抑えた運用戦略を選ぶことです。価格変動に振り回されない方法として、積立投資や分散投資が有効です。
例えば、ビットコインなどを毎月一定額ずつ購入するドルコスト平均法では、価格の上下に関わらず平均購入単価を平準化できるため、長期的な資産形成に適しています。
また、複数の銘柄に分散して保有することで、特定のコインが暴落した際のリスクを抑えることが可能です。
特にメジャー銘柄と将来性のあるアルトコインを組み合わせることで、より効果的なリスク分散が期待できます。
さらに、短期的な値動きに左右されない仮想通貨のガチホ(長期保有)戦略や、ステーブルコインを活用した運用もおすすめです。
JPYCなどのステーブルコインは法定通貨に連動する価格安定型の資産であり、現金代わりに保有しておくことで、市場の急落リスクを和らげることができます。
安全な運用のためには、市場の変化を見逃さないことも大切です。日ごろの情報収集で、暴落や急騰の兆候を事前に把握できれば、より冷静な判断が可能になります。
また、暴落が発生した後もその背景や要因をいち早く理解することで、感情的な行動を避けつつ次の戦略を立てやすくなります。
ただし、SNSや掲示板の過激な情報に振り回されるのは避けましょう。
噂や感情的な意見に基づいて取引を行うと、冷静な判断を失い、損失を招く恐れがあります。
市場の動向を追いつつも、自分の投資ルールや資金配分を厳守することが、長期的に安定した運用の実現につながります。
仮想通貨を運用するうえで、利用するプラットフォームのセキュリティ面も軽視できません。
資産を安全に管理するためには、ハッキングや不正アクセスのリスクを最小限に抑えられる仮想通貨ウォレットや取引所を選ぶことが重要です。
例えば多機能Web3ウォレットの「Best Wallet」のように、生体認証や二段階認証などの堅牢なセキュリティ機能を備えたサービスを利用すれば、不正アクセスから資産を守ることができます。
こうした安全性の高い環境を整えることで、仮想通貨の積み立てや長期保有も安心して行えるでしょう。

仮想通貨は株などの他の金融商品と比べて価格変動が激しく、高いリターンを期待できます。
ただその一方で、暴落が発生した際には、株などとは比べ物にならない落ち幅の下落が起きるリスクもあります。
安全な運用を目指すなら、そうした独自の性質を理解した上で、積立や分散投資といったリスクをコントロールできる戦略を組む必要があるでしょう。
さらに、仮想通貨はセキュリティ面も非常に重要であり、安全性の高いプラットフォームを選ぶことが長期的な資産保護につながります。
セキュリティに関心がある方は、生体認証機能などを備えた評判のウォレット「Best Wallet」の利用をぜひ検討してみてください。
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記事・ガイド
調査・研究時間
執筆者
吉谷 元気
, 0 posts株や為替、不動産など多岐にわたる金融分野で執筆経験を積み、現在はCoinspeakerの専属ライターとして活動中。幅広い知見をもとに、仮想通貨(暗号資産)関連の記事執筆・編集を担当。