アルゼンチンYPF、ガソリンスタンドで仮想通貨決済導入検討へ

アルゼンチン国営YPFがガソリンスタンドでの仮想通貨決済を検討。経済不安で高まるデジタル資産需要を受け、導入が現実味を増している。

星 瑞希 By 星 瑞希 黒川 理佐 Editor 黒川 理佐 Updated 1 min read
アルゼンチンYPF、ガソリンスタンドで仮想通貨決済導入検討へ

Key Notes

  • YPFがガソリンスタンドでの仮想通貨決済導入を検討中.
  • 経済不安定によるクリプトドル需要への対応が背景.
  • Lemonやバイナンスなどが提携候補として挙がる.

アルゼンチンの国営エネルギー大手YPFは4日、ガソリンスタンドでの暗号資産(仮想通貨)決済の導入を検討していることが明らかになった。

経済情勢に対応する新たな決済手段

YPFは同国最大の石油会社であり、ガソリンやディーゼルの購入に仮想通貨を利用可能にする選択肢を評価している。

この計画は現在検討段階にあり、具体的な開始日は未定だ。アルゼンチンでは経済の不安定さが続いており、法定通貨ペソの価値が著しく低下している。

そのため、市民は日常的な取引においてもデジタル資産を利用する傾向が強まっている。特にビットコインなどの主要銘柄は、資産価値の保全手段として注目されている。

2025年の世界仮想通貨採用指数で、アルゼンチンは世界20位にランクインした。YPFの今回の動きは、こうした国内の経済状況に対応するための戦略的なものと見られる。

同社はすでに約2カ月前、ガソリンスタンドでの米ドル決済を導入している。これは国内の燃料チェーンとして初の試みであり、今回の仮想通貨決済の検討もその流れを汲むものだ。

ルイス・カプト経済相は、取引の安定化を目指して外貨の流通を推奨しており、この方針とも合致している。

実現に向けた仕組みとパートナー候補

導入が実現する場合、直接的なウォレット間送金ではなく、仲介業者を通じた決済になる可能性が高い。

これは、政府の公式レートではなく、市場の実勢に近いクリプトドルレートで価格設定を行うためだ。現地では、米ドル等の法定通貨と価値が連動するステーブルコインの需要が高い。

提携先の候補としては、Lemon、Ripio、そして大手取引所のバイナンスなどの名前が挙がっている。バイナンスはアルゼンチンでも人気の高い海外仮想通貨取引所だ。

決済の仕組みは、既存の米ドル決済システムと同様の形式になると予想される。利用者がQRコードをスキャンし、アプリ上で相当額を支払う形になるだろう。

政府も以前の規制的な姿勢から、デジタル資産の役割を認める現実的なアプローチへと変化している。

YPFによるこの取り組みは、小売レベルを超えた大規模な国営企業による導入事例となる。アルゼンチン国民の間で広がるデジタル資産の実用的な利用を、企業側が追認する形となりそうだ。

通貨改革が進む中、YPFの判断は実用的なビジネス対応として注目されている。

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星 瑞希

2020年よりブロックチェーン領域への投資をスタート。現在は「Coin Speaker」にて専属ライター兼暗号資産アナリストとして活動中。

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