2020年よりブロックチェーン領域への投資をスタート。現在は「Coin Speaker」にて専属ライター兼暗号資産アナリストとして活動中。
米金融大手のJPモルガン・チェースは8日、イーサリアム(ETH)を主要準備資産とするビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ社の株式を大量に保有していることを明らかにした。
SEC への提出書類によると、JPモルガンは2025年9月30日時点でビットマイン社の株式197万4144株を保有しており、その価値は約1億200万ドルに上る。この開示は、伝統的な金融機関が暗号資産(仮想通貨)市場へどのように関与していくかを示す重要な事例となる。
ビットマイン社はナスダックに上場する企業で、元々はビットコイン(BTC)のマイニング事業を手掛けていた。しかし2025年、ストラテジー社のビットコイン戦略をモデルに、主要な準備資産をイーサリアムとする大胆な戦略転換を実行した。
複数の機関投資家向けレポートで確認されたところによると、同社は現在324万ETHを企業準備資産として保有している。これにより、同社は世界最大のイーサリアム保有企業としての地位を確立した。
JPモルガンの今回の株式保有は、イーサリアム市場への間接的な参入を意味する。直接仮想通貨を保有するのではなく、関連企業の株式を通じてエクスポージャーを得る手法は、機関投資家による市場採用の新たなマイルストーンと見なされている。
この動きの背景には、価値の保存手段や企業財務資産としてのイーサリアムに対する機関投資家の信頼の高まりがある。DeFi やNFT エコシステムにおけるイーサリアムの普及、そして米国の現物イーサリアムETFの承認が、関心を後押しする大きな触媒となったと分析されている。
しかし、この事例は仮想通貨関連株が内包するリスクも浮き彫りにした。JPモルガンが保有するビットマイン社株式の価値は、11月までに約7941万ドルまで減少し、当初の評価額から22%の損失を記録した。
これは、仮想通貨の価格変動リスクと、裏付けとなる準備金の流動性リスクという二重のリスクを示すものだ。
ビットマイン社の保有量はイーサリアムの総供給量の約2.8%に相当するため、その資産価値は市場のパフォーマンスに大きく左右される。この事例は、伝統金融と仮想通貨が交差する領域で活動する機関投資家にとって、特に集中エクスポージャーのリスクに関する教訓となっている。
興味深いことに、JPモルガンは同時期に現物ビットコインETFの保有を64%増加させており、同じ金融機関内でも仮想通貨へのアプローチに多様性があることを示している。イーサリアムの今後の動向を占う上で、こうした機関投資家の戦略は重要な指標となるだろう。
Disclaimer: Coinspeakerは公平で透明性の高い報道に努めています。この記事は正確かつタイムリーな情報提供を目的としていますが、投資助言ではありません。市場状況は急速に変化するため、投資判断の前に情報確認と専門家への相談を強く推奨します。
2020年よりブロックチェーン領域への投資をスタート。現在は「Coin Speaker」にて専属ライター兼暗号資産アナリストとして活動中。