仮想通貨取引所OKX、米司法省と和解後に米国でのIPOを計画

暗号資産取引所OKXが米司法省と和解後、2026年初頭の米国でのIPOを検討。取引所に対する各国の規制圧力と市場動向が背景にある。

井上 雪芽 By 井上 雪芽 黒川 理佐 Editor 黒川 理佐 Updated 1 min read
仮想通貨取引所OKX、米司法省と和解後に米国でのIPOを計画

Key Notes

  • OKXは米司法省との和解を経て、2025年4月に米国市場へ再参入し、2026年第1四半期初頭のIPOを検討.
  • タイなど他国での規制圧力と、仮想通貨業界全体で見られる株式公開のトレンドが、米国でのIPO計画を後押ししている.
  • コンプライアンス体制を刷新し、ウォール街出身のロシャン・ロバート氏を新CEOに迎え、米国での事業拡大戦略を強化している.

暗号資産(仮想通貨)取引所のOKXは23日、米国での新規株式公開(IPO)を検討していることを明らかにした

同社は米司法省との間で5億500万ドルの和解に至った後、2025年4月に米国市場へ再参入した。この和解は、2018年から2024年初頭にかけて適切なライセンスなしに事業を運営していた問題に起因する。

セーシェルに拠点を置く同社は、米国拡大戦略の一環としてカリフォルニア州サンノゼに地域本部を設立。ウォール街で経験を積んだロシャン・ロバート氏を新CEOに迎え、体制を強化している。

規制圧力と市場動向

OKXが米国のIPOを検討する背景には、複数の要因が存在する。一つは、海外での規制圧力である。

同社はタイにおいてバイビットやCoinExといった他の取引所と共にブロックされており、タイ証券取引委員会は投資家保護やマネーロンダリング対策を理由に挙げている。このように海外仮想通貨取引所の動向は、各国の規制当局に注視されている。

一方で、仮想通貨セクター全体で株式公開や機関投資家の関心が高まっていることも追い風だ。

仮想通貨ジャーナリストのユエキ・ヤン氏が指摘するように、業界の予想を上回る評価額での上場が相次いでおり、このトレンドがOKXの戦略的な動きを後押ししている。

コンプライアンス体制の強化と競争環境

司法省との和解は、OKXにコンプライアンス体制の全面的な見直しを迫った。これにより、米国での規制遵守を最優先する方針へと転換し、合法的な市場再参入の基盤を築いた。

OKXのIPO計画は、米国の競争環境とも関連している。競合のジェミニはすでに米SECにS-1フォームを提出し、ニューヨーク証券取引所への上場を目指している。コインベースのような大手企業もIPOを通じて資金を調達し、製品開発や世界的な知名度向上に成功した。

最近では現物ビットコインETFの承認が機関投資家の参入を促し、市場全体の信頼性を高める要因となっている。OKXの動きは、規制の明確化と市場の成長を背景に、公開市場での機会を求める仮想通貨取引所の大きな潮流の一部と言えるだろう。

Disclaimer: Coinspeakerは公平で透明性の高い報道に努めています。この記事は正確かつタイムリーな情報提供を目的としていますが、投資助言ではありません。市場状況は急速に変化するため、投資判断の前に情報確認と専門家への相談を強く推奨します。

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井上 雪芽

Coinspeakerの専任暗号資産ライター。2020年から仮想通貨投資を始め、ビットコイン、NFT、DeFiへの投資経験がある。2025年6月にCoinspeakerに加わる。

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