
暗号資産業界で5年以上の取材・執筆経験を持つフリーランスライター。ブロックチェーン技術の仕組みから最新のDeFiプロジェクト、NFT市場の動向まで幅広くカバー。複雑な技術概念を分かりやすく解説することを得意とし、初心者から上級者まで読者のレベルに合わせた記事執筆を行う。
ドナルド・トランプ米政権は25日、連邦住宅金融庁(FHFA)に対し、住宅ローン申請者の暗号資産(仮想通貨)を評価に含めるシステムの開発を検討するよう指示した。
この動きは、デジタル資産を伝統的な金融システムに統合しようとする試みの一環だ。実現すれば、米国の住宅購入希望者が保有する仮想通貨を資産として申告し、住宅ローンの担保として活用できる道が開かれる可能性がある。
After significant studying, and in keeping with President Trump’s vision to make the United States the crypto capital of the world, today I ordered the Great Fannie Mae and Freddie Mac to prepare their businesses to count cryptocurrency as an asset for a mortgage.
SO ORDERED pic.twitter.com/Tg9ReJQXC3
— Pulte (@pulte) June 25, 2025
FHFAは、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)と連邦国民抵当協会(ファニーメイ)という、米国の住宅ローン市場で中心的な役割を担う2つの政府支援機関(GSE)を監督する独立機関である。
今回の指示は、これらの機関が保証する住宅ローンにおいて、仮想通貨の資産価値を正式に認めるための第一歩となりうる。
これまで、仮想通貨はその価格変動性の高さから、伝統的な金融機関のローン審査で資産として認められることは困難だった。しかし、機関投資家の参入や市場の成熟に伴い、仮想通貨を正式な資産クラスとして扱うべきだとの議論が高まっていた。
この方針が具体化すれば、特に若い世代やデジタル資産を主要な資産形成の手段とする人々にとって、住宅購入のハードルが下がる可能性がある。自身のポートフォリオの一部である仮想通貨を活用し、より大きな資金調達が可能になるかもしれない。
一方で、仮想通貨を住宅ローンの担保とすることには、依然として大きな課題が残る。最大の懸念点は、その急激な価格変動(ボラティリティ)だ。担保価値が短期間で大幅に下落するリスクを、金融機関がどのように評価し、管理するかが焦点となる。
このリスクを軽減するため、評価額に対して一定の掛け目を設ける、あるいは価格が安定しているステーブルコインの利用に限定するといった方策が考えられる。また、ビットコイン(BTC)やイーサリアムといった主要な仮想通貨だけでなく、将来的に他のアルトコインが対象に含まれるかどうかも注目される点だ。
どのような種類の仮想通貨を対象とし、どのように公正な市場価値を算定するのか。金融機関と規制当局は、明確で堅牢な評価基準とリスク管理の枠組みを構築する必要がある。このプロセスには、慎重な検討と広範な議論が求められるだろう。
今回の指示は、仮想通貨が単なる投機的な取引対象から、実体経済に根差した「資産」へと移行する過程で、重要な一歩となるポテンシャルを秘めている。住宅ローンという、個人金融において最も大きな分野の一つで仮想通貨が認められれば、その影響は計り知れない。
この取り組みが成功すれば、自動車ローンや個人向け融資など、他の金融商品においても仮想通貨担保の活用が広がる可能性がある。それは、金融包摂を促進し、新しい資産形成の形を社会に提供することにもつながる。
もちろん、この構想が実現するまでには、規制の整備や技術的なシステムの開発など、多くのハードルを越えなければならない。しかし、政府機関がその可能性を公式に検討し始めたという事実は、仮想通貨のメインストリーム化に向けた大きな前進と言える。
今後のFHFAおよび関連機関の動向が、金融の未来を占う上で重要な試金石となるだろう。近年承認されたビットコインETFのように、仮想通貨が金融資産として認められる事例は増えつつある。
Disclaimer: Coinspeakerは公平で透明性の高い報道に努めています。この記事は正確かつタイムリーな情報提供を目的としていますが、投資助言ではありません。市場状況は急速に変化するため、投資判断の前に情報確認と専門家への相談を強く推奨します。
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