米当局、「豚の屠殺」詐欺で大量USDT押収|Coinbaseら協力

米シークレットサービスはCoinbaseらと協力し、国際的詐欺で盗まれた2億2500万ドル相当のUSDTを押収。被害者への返還を開始した。

大智 倉元 By 大智 倉元 宇城 良 Editor 宇城 良 Updated 1 min read
米当局、「豚の屠殺」詐欺で大量USDT押収|Coinbaseら協力

Key Notes

  • 米シークレットサービスが、国際的な「豚の屠殺詐欺」で盗まれた2億2500万ドル相当のUSDTを押収した.
  • この作戦は、仮想通貨取引所Coinbaseとステーブルコイン発行元Tetherとの協力によって実現した.
  • 摘発はブロックチェーン分析と国際連携の有効性を示し、押収された資金は被害者への返還手続きが進められている.

米シークレットサービスは、国際的な金融詐欺で不正に取得された2億2500万ドル(約326億円)相当の暗号資産(仮想通貨)を押収したとが明らかになった

この作戦は、仮想通貨取引所のCoinbaseとステーブルコイン発行元のTetherとの緊密な連携のもとで実行された。

高度化する「豚の屠殺」詐欺

今回摘発されたのは、「豚の屠殺(pig-butchering)」として知られる悪質な詐欺だ。この手口では、犯人グループが恋愛感情や信頼関係を装って被害者に長期間にわたり接触する。

そして、偽の投資話を持ちかけ、多額の資金を送金させた後、連絡を絶ち資金を持ち逃げする。近年、この種の仮想通貨詐欺は世界的に急増しており、手口も巧妙化している。

今回の事件は、東南アジアを拠点とする国際的な犯罪組織が関与しているとみられる。被害者は世界中に広がり、被害総額は巨額に上っていた。

ブロックチェーン分析と国際連携が鍵に

シークレットサービスは、コインベースが提供するブロックチェーン分析ツールを活用し、不正な資金の流れを追跡した。ブロックチェーンは取引記録が公開されているため、専門的な分析によって資金の移動経路を特定することが可能だ。

コインベースは、詐欺に関連するウォレットアドレスを特定し、その情報を法執行機関と共有した。コインベースのような海外仮想通貨取引所大手との連携は、国際的な捜査において不可欠である。

一方、ステーブルコインUSDTの発行元であるテザーも捜査に全面的に協力した。同社は、シークレットサービスの要請に基づき、詐欺グループが管理するウォレット内のUSDTを凍結する措置を講じた。

この凍結措置により、犯罪者が資金を移動させたり現金化したりすることを防ぎ、資産の保全に成功した。この一連のプロセスは、法執行機関と民間企業の効果的な連携が、仮想通貨を利用した犯罪対策においていかに重要であるかを示している。

被害者への資金返還と今後の課題

押収された2億2500万ドル相当のUSDTは、今後、法的な手続きを経て被害者への返還が進められる予定だ。シークレットサービスは、被害者特定と返還プロセスのための専門チームを立ち上げている。
しかし、被害者が世界中に点在しているため、返還手続きは複雑で時間を要する可能性がある。

今回の事件は、仮想通貨業界における詐欺対策の大きな前進といえる。ブロックチェーンの透明性と、取引所や発行元との連携が、犯罪収益の追跡と回収を可能にした。

今後も同様の国際的な協力体制を強化し、高度化するサイバー金融犯罪に対抗していくことが、業界全体の健全な発展にとって不可欠となるだろう。

Disclaimer: Coinspeakerは公平で透明性の高い報道に努めています。この記事は正確かつタイムリーな情報提供を目的としていますが、投資助言ではありません。市場状況は急速に変化するため、投資判断の前に情報確認と専門家への相談を強く推奨します。

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大智 倉元

暗号資産業界で5年以上の取材・執筆経験を持つフリーランスライター。ブロックチェーン技術の仕組みから最新のDeFiプロジェクト、NFT市場の動向まで幅広くカバー。複雑な技術概念を分かりやすく解説することを得意とし、初心者から上級者まで読者のレベルに合わせた記事執筆を行う。

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