アルゼンチン連邦裁判所が、ミレイ大統領推奨ミームコイン「LIBRA」に関わる関係者の資産凍結を命令。被害額は1億ドル超と推定される。
アルゼンチンのマルセロ・ジョルジ連邦判事は8日、ハビエル・ミレイ大統領が推奨したミームコイン「LIBRA」のスキャンダルに関連し、関係者の資産を凍結する命令を出した。
この司法措置は、トークンの主要な推進者とされる米国人実業家ヘイデン・デイビス氏、アルゼンチンの仮想通貨事業者オーランド・メリーノ氏、そしてコロンビア人のファビオ・ロドリゲス氏を対象としている。
裁判所の文書によると、この命令はエドゥアルド・タイノ連邦検察官の要請に基づくものだ。
大統領の推奨直後に価格操作か
検察の要請は、金融捜査・不正資産回復事務局などが提出した技術報告書によって裏付けられている。同報告書は、不審な仮想通貨ウォレットの活動と数百人の購入者に対する詐欺の可能性を示す証拠を挙げ、3人に対する法的手続きを勧告した。
この事件の発端は、ミレイ大統領が1月30日にSNSに投稿したデイビス氏との写真である。大統領は同氏をブロックチェーンとAIのアドバイザーとして紹介した。
司法記録によると、この投稿から42分以内に、取引所Bitgetを通じて50万7500ドルが送金されたことが確認されている。
大統領の支持表明後、LIBRAトークンの価値は急騰した後に暴落した。捜査当局は、購入者の損失額を1億ドルから1億2000万ドルと見積もっている。裁判所は、詐欺の収益となりうる資産を保全する必要性を特に強調した。
組織的な資金の流れと政治的背景
今回の司法措置は、大統領による公の支持表明直後に行われた組織的な金融操作の証拠によって後押しされた。技術報告書は、ロドリゲス氏が別の関係者の貸金庫開設に関与した役割を強調している。
裁判記録では、LIBRA暴落の数時間後に、関係者の家族がガリシア銀行から現金を引き出していたことが示されている。ジョルジ判事は、被告らが疑惑のある暗号資産(仮想通貨)を事件解決前に処分するおそれがあるとして、資産凍結の必要性を認めた。
タイノ検察官の要請は、トークンの急速な価格操作パターンに影響されたものだ。捜査当局はこれを、誇大広告や虚偽の宣伝、計画的な売り抜けを含む詐欺のマニュアルと表現した。これは典型的な仮想通貨詐欺の手法と見なされている。
ミレイ大統領がトークン推奨に直接関与したことで、事件の政治的な重要性が増し、当局はこれをアルゼンチンで最も政治的に注目される仮想通貨捜査の一つとして扱っている。
資産凍結の範囲と今後の捜査
ジョルジ判事は、資産凍結が「プロセスの目的を果たすために厳密に必要な期間継続する」と明記し、所定の終了日を設けていない。
この命令は、国家証券委員会に対し、アルゼンチンで事業を行うすべての仮想資産サービスプロバイダーに通知し、凍結措置を全国の仮想通貨プラットフォームに拡大するよう明確に要求している。
捜査当局は、ロドリゲス氏が仮想通貨を法定通貨に交換する手助けをし、容疑者らが数ヶ月にわたり数百万ドルを目立たずに移動させることを可能にした役割について調査を進めている。
ミレイ大統領自身は別の手続きで直接の不正行為はないとされているが、この事件は仮想通貨市場における政治家の支持表明に対する広範な監視のきっかけとなった。
金融捜査事務局の報告書によると、LIBRA暴落の数ヶ月前からウォレット分析で奇妙で活発な取引が見られていたとして、捜査は続いている。
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