仮想通貨取引所バイナンスが、トロンやテザーらが設立した犯罪対策組織T3+に初加盟。業界全体で不正利用と戦う動きが加速している。
暗号資産(仮想通貨)取引所大手のバイナンスは12日、ブロックチェーン上の不正行為対策を目的とした協力プログラムT3+に、初の加盟メンバーとして参加したことを明らかにした。
T3+は、ブロックチェーンプロジェクトであるトロン、ステーブルコイン発行企業のテザー社、ブロックチェーン分析企業TRM Labsが2024年9月に立ち上げたT3金融犯罪対策ユニット(T3 FCU)を拡大した取り組みだ。
バイナンスの参加は、ブロックチェーン関連犯罪に対抗する協力体制の大きな一歩となる。
犯罪対策で大きな成果、協力体制を拡大
T3+の前身であるT3 FCUは、発足から約11カ月で、世界中で2億5000万ドルを超える不正な資産を凍結させるという実績を上げている。この成功が、プログラムを拡大する説得力のある根拠となった。
この取り組みは、5大陸の法執行機関との緊密な連携を通じて運営されている。これにより、仮想通貨関連の犯罪ネットワークをリアルタイムで阻止することが可能だ。
近年、豚の屠殺詐欺に代表される巧妙な仮想通貨関連の詐欺が増加している。規制当局からのコンプライアンス強化の圧力も高まっており、業界全体での積極的な対策が求められていた。T3+は、こうした背景から生まれた官民連携を強化するためのプログラムである。
バイナンスの参加がもたらす影響
バイナンスはT3+への貢献として、すでに豚の屠殺詐欺に関連する約600万ドルの凍結に協力し、その即効性を示した。この協力体制は、各社の専門知識を結集させるものだ。
たとえば、トロンはブロックチェーンの技術基盤を、テザーはステーブルコインネットワークの運用知見を、TRM Labsはブロックチェーン分析の精度を提供。そこにバイナンスの膨大な取引データと運営インフラが加わることで、より高度な犯罪対策体制が整えられた。
バイナンスはこのパートナーシップを、安全で透明性の高い仮想通貨エコシステムの構築に向けた中長期戦略の一環と位置づけている。T3の素早い資産凍結能力は、暗号資産の世界においてリアルタイム監視と即時対応が現実的になりつつあることを象徴するものだ。
こうしたセキュリティ面での強化は、ユーザーにとって安心して海外仮想通貨取引所を利用できる環境づくりにもつながっていく。
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