スタンダードチャータードは、BTCが10万ドルを一時的に下回ると予測。米中貿易摩擦が要因としつつ、長期的には強気な見通しを維持。
英大手銀行スタンダードチャータードは22日、ビットコイン(BTC)価格が10万ドルを下回ることは避けられないとの見解を示した。
同行のデジタル資産調査責任者であるジェフリー・ケンドリック氏は、顧客向けメモの中でこの予測を明らかにした。同氏は、この価格帯への下落が、6桁の価格でBTCを購入できる史上最後の機会になる可能性があると指摘している。
この見解は、わずか3週間前にケンドリック氏が示した13万5000ドルへの上昇予測から大きく転換するものだ。ビットコインは10月6日に12万6000ドルの高値を記録したが、その水準を維持できなかった。
短期的な下落を予測する背景
価格見通し修正の主な要因は、マクロ経済環境の悪化にある。ケンドリック氏は、10月10日に発生した暗号資産(仮想通貨)市場の暴落が上昇の勢いを妨げたと分析する。この暴落は、米中間の貿易摩擦が激化するとの懸念から引き起こされた。
市場全体にリスク回避の動きが広がり、仮想通貨市場のセンチメントを冷え込ませた。スタンダードチャータードの分析によると、金(ゴールド)からビットコインへの資金フローの変化や、世界的な金融市場における流動性引き締め策も、短期的な価格調整の要因となっている。
これらの複合的な要因が、これまでビットコイン価格を支えてきた強気の材料を打ち消した形だ。同行は、市場が新たな基盤を確立するためには、さらなる価格下落が必要だと見ている。
長期的には強気な見通しを維持
短期的な弱気予測とは対照的に、スタンダードチャータードはビットコインの長期的な見通しについて極めて強気な姿勢を崩していない。
ケンドリック氏は10月20日付の別の分析で、ビットコインの価格が「2028年末までに50万ドルに達することは100%達成可能だ」と述べている。
同行は、今回予測される10万ドル割れを、長期的な上昇トレンドにおける一時的な調整と位置付けている。この調整局面は、長期的な視点を持つ市場参加者にとって、戦略的なエントリーポイントを提供する可能性がある。
スタンダードチャータードの分析は、ビットコインの価値を支える構造的な要因は依然として健全であると強調している。短期的な価格変動を経て、ビットコインが永続的に10万ドル以上の価値を維持するとの見方を示しており、ビットコインの今後の動向が注目される。
next