
Coinspeakerの専任暗号資産ライター。2020年から仮想通貨投資を始め、ビットコイン、NFT、DeFiへの投資経験がある。2025年6月にCoinspeakerに加わる。
暗号資産(仮想通貨)の個人投資家はこのほど、ビットコイン(BTC)を大量に保有する上場企業へのエクスポージャーにより、約170億ドルの損失を被ったことが明らかになった。
損失を被ったのは、米ストラテジーや日本のメタプラネットといったデジタル資産財務企業(DATCOs)に参加した個人投資家だ。
これらの企業は、実際のビットコイン保有額に対して割高な価格で株式を発行し、調達資金でさらに仮想通貨を購入する戦略をとっていた。
市場の熱狂を背景に、株価は裏付けとなるビットコイン資産価値の3倍から4倍で取引されていた。
しかし、2025年10月17日にビットコインの価格が10万4000ドルを下回ると広範な売りが発生し、株式プレミアムは崩壊。個人投資家の資産約170億ドルが失われた形だ。
今回の損失には、主に3つの要因が絡み合っている。
第一に、過大評価された株式プレミアムだ。DATCOsは2025年、保有するビットコインの純資産価値に対し平均1.6倍から1.9倍のプレミアムを乗せて株式を売却し、約860億ドルを調達した。
これにより、個人投資家は実質的に約200億ドルを過払いする形となり、市場の調整に対して極めて脆弱な状態に置かれていた。
第二の要因は、ビットコイン価格の変動性である。2025年8月から10月にかけて仮想通貨価格が20%下落したことで、DATCOsの株価評価額は直接的な打撃を受けた。
同期間にストラテジーの株価は20%以上、メタプラネットは60%以上も急落した。
第三の要因として、市場センチメントの変化が挙げられる。投資家の熱狂が冷め、ビットコイン財務企業にとっての「金融の錬金術」の段階は終わりを迎えた。
企業はもはや投機的なプレミアムに依存できず、収益規律を優先する必要に迫られている。
メタプラネットのような企業は、市場の活況期に新株を発行して時価総額を80億ドルのピークまで押し上げたが、プレミアムが消滅すると同時に厳しいデレバレッジに直面した。現在、ストラテジーの株価は保有ビットコイン価値の1.4倍で取引されている。
一方、メタプラネットの時価総額31億ドルは、保有するビットコイン資産33億ドルとほぼ同水準にあり、プレミアムが完全に消失したことを示している。
アナリストは、今回の巨額損失は「金融の魔法の終わり」を告げるものだと指摘。株式を利用して仮想通貨エクスポージャーを得る戦略のシステミックリスクを浮き彫りにしたと分析している。
こうしたビットコイン関連株への投資には、高いリスクが伴うことを改めて示した形だ。ビットコインの今後の動向が、こうした企業の戦略にさらなる影響を与えることは必至だ。
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Coinspeakerの専任暗号資産ライター。2020年から仮想通貨投資を始め、ビットコイン、NFT、DeFiへの投資経験がある。2025年6月にCoinspeakerに加わる。