ブラジル財務省が、USDTなどステーブルコインを含む仮想通貨取引への課税を検討。国際基準に沿った規制整備で市場の健全化を目指す。
ロイター通信によると、ブラジル政府はこのほど、国際的な決済で利用される暗号資産(仮想通貨)への課税を検討していると報じた。
財務省は、既存の金融取引税(IOF)を、仮想資産やステーブルコインを利用した国境を越える特定の取引に拡大適用するかどうかを評価している。
現在、ブラジルでは仮想通貨はIOFの対象外だが、キャピタルゲインには17.5%の税金が課されている。中央銀行はすでに、こうした取引を外国為替業務と分類しており、課税対象となる可能性が出てきた。
ブラジル連邦歳入庁は最近、仮想通貨資産の取引報告規則を国際的な報告基準(CARF)に合わせることを発表している。
仮想通貨の税制上の抜け穴を問題視
ブラジル政府は、デジタル資産がIOFの対象外であることを重大な抜け穴と見なしている。特にステーブルコインは、事実上の外国為替や決済手段として機能し、従来の送金方法に課される税金を回避できるためだ。
今回の提案は、この抜け穴をふさぎ、財政的な課題の中で歳入を増やすことを目的としている。関係者によると、ステーブルコインの使用が規制の裁定取引につながらないようにするための措置だという。
こうした規制の整備は、健全な仮想通貨投資環境を整える上でも重要となる。
2025年上半期の仮想通貨取引額は、前年同期比20%増の2270億レアル(約6兆6340億円)に達した。そのうち、テザー社のステーブルコインUSDTが取引量のおよそ3分の2を占めており、市場の大きさがうかがえる。
国際基準への準拠と規制強化の動き
ブラジルは2023年後半にCARFを支持する声明に署名しており、今回の動きは国際的な規制の潮流に沿ったものだ。米国や欧州連合、アラブ首長国連邦も同様のデータ共有プログラムへの参加を進めている。
中央銀行は今年2月、ステーブルコインの送金を外国為替取引と分類する新規制を導入した。これにより、消費者保護やマネーロンダリング対策の規則が仮想通貨関連業者にも適用されるようになった。
今回の課税案はまだ連邦税務当局の承認が必要だが、実現すれば送金コストに影響を与える可能性がある。一方で、規制が明確になることで、機関投資家の信頼が高まることも期待される。
一般的に仮想通貨の税金制度が整備されることは、市場の健全な発展にとって不可欠である。
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