イーサリアムのブテリン創設者は、FTXの崩壊は中央集権的な構造が原因だと指摘。分散型で透明性の高いイーサリアムの原則を強調した。
イーサリアム(ETH)のヴィタリック・ブテリン共同創設者は17日、破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXを厳しく批判した。
アルゼンチンで開催されたカンファレンスDevconnectで、ブテリン氏はFTXがイーサリアムの基本原則とは180度異なる、対極的な存在だと述べた。
同氏は、FTXの失敗の根本原因は不透明な信頼に依存する中央集権的なモデルにあると主張している。
分散型コミュニティとしてのイーサリアム
ブテリン氏は、同プロジェクトが特定企業ではなく分散型コミュニティによって運営されていることを強調した。その開発プロセスは公開されており、誰でも検証可能で、許可なくアクセスできるという。
ブテリン氏はこれを、閉鎖的な環境で意思決定が行われる中央集権型企業のFTXと対比した。
さらに、分散型技術の要点は誰かを信頼する必要がないことであり、イーサリアムは数学的なプロトコルにより悪意ある行動を防ぐシステムを構築していると述べた。
この発言は、イーサリアム価格が2025年8月の高値から39%下落し、3000ドルを割り込む中で行われ、市場の不安定さの中で核心的価値を再確認する狙いがあったとみられる。
信頼不要の原則とイーサリアム市場の動向
ヴィタリック・ブテリン氏の批判の背景には、FTXのサム・バンクマン=フリード元CEOによる約80億ドル規模の詐欺事件で引き起こされた同社の崩壊がある。
ブテリン氏は11月初旬に発表した「信頼不要のマニフェスト(Trustless Manifesto)」に言及し、自己主権や検証可能性など、真に分散化されたシステムに不可欠な6つの要件を示した。
FTXのスキャンダルを受け、業界では中央集権型の仮想通貨取引所から、ハイパーリキッドなどのDEXへの移行が加速している。
DEXは仲介者を介さず個人間で取引可能で、単一障害点を排除できることから、透明性や利用者の自律性を重視するユーザーから支持を集めている。
ブテリン氏の講演は、適切に実装された分散化が信頼できる金融インフラを支える技術的特徴であると同時に、哲学的な基盤でもあることを改めて示す内容となった。
next