カナン社は日本の電力網安定化のため4.5MWのマイニングサーバー契約を締結。ビットコインマイニング技術を電力需給調整に活用する。
ビットコイン(BTC)マイニング機器メーカーのカナンは30日、日本の電力網安定化プロジェクト向けに4.5メガワットの販売契約を締結したと明かした。
同社の公式発表によると、この契約は電気工学ソリューションプロバイダーとの間で結ばれたものだ。日本の大手地方電力会社が主導するプロジェクトで、リアルタイムの電力網バランス調整とエネルギー効率の最適化を目的としている。
導入されるのは、カナン製のAvalon A1566HA-488T水冷式マイニングサーバーである。プロジェクトは2025年末までの稼働開始を予定している。
マイニング技術で電力網を安定化
カナンのNangeng Zhang会長兼CEOは、「当社の水冷式サーバーとビットコインマイニング技術により、電力会社はビットコインマイニングをデジタル負荷分散装置として活用できる」と述べた。これにより、エネルギーの持続可能性と送電網の効率向上が期待されるという。
今回導入されるサーバーには、自社開発のスマートコントロールチップが搭載されている。高度なフィードバックアルゴリズムを通じて、周波数、電圧、ハッシュレートを動的に調整する機能を持つ。
サーバーは常時稼働し、制御されたオーバークロックとアンダークロックによって地域電力網の負荷を安定させる役割を担う。カナンは昨年、オランダでも同様の取り組みを支援した実績があり、今回のプロジェクトはその知見を基に構築される。
規制改革が後押しするインフラ整備
このプロジェクトの背景には、AIコンピューティングや高密度データセンターの普及による電力需要の増大がある。電力システムへの圧力が高まる中、カナンはエネルギー効率の高いソリューションへの需要がアジア、北米、欧州で高まっていると見ている。
また、日本の仮想通貨に対する規制改革も重要な要因だ。政府は仮想通貨を金融商品取引法上の金融商品と再分類する案や、利益に対する一律20%の税率導入などを検討している。
こうした動きが、ブロックチェーン関連のインフラプロジェクトにとって有利な環境を生み出しているようだ。
ビットコインマイニングは、余剰な再生可能エネルギーを吸収し、送電網に安定化サービスを提供できる補助的な役割を担う可能性が認識されつつある。
今回の取り組みは、マイニング技術がブロックチェーンのセキュリティ維持と電力網サービスの提供という2つの目的を果たせることを示すものだ。
マイニングが単なるエネルギー消費者からエネルギー管理ツールへと認識を変える可能性がある。カナンは2026年に、グローバルなエネルギーおよびデータセンターパートナーと共に、こうした展開を拡大していく計画だ。
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