USDC発行元サークル社、不正対策で「取引取消機能」検討へ

2時間 ago by · 1 min read

USDC発行元のサークル社が、不正ハッキング対策として取引取消機能を検討。機関投資家の需要に応える狙い。

ステーブルコインUSDCの発行元であるサークル社は25日、不正利用やハッキングに対処するため、取引の取消機能を導入する構想を明らかにした。

この機能は、暗号資産(仮想通貨)の取引が一度確定すると変更できないという、不可逆性の基本原則から意図的に逸脱するものであり、業界内で大きな議論を呼んでいる。

サークル社の戦略:USDCを伝統金融に統合する取消機能

同社は、盗難資金の回収を可能にすることで、ユーザー保護を強化できると説明する。

この仕組みは、クレジットカードの返金処理に似た「カウンターペイメント(反対支払い)」を通じて実行される計画で、通常の正当な取引の決済完了性は維持される見込みだ。

サークル社のヒース・ターバート社長は、この取引取消機能の導入が、伝統的な金融システムと仮想通貨の橋渡しをするための戦略であると述べている。

同氏は、この機能が「ステーブルコインを既存金融システムの根幹の一部にする」ために不可欠であると強調した。

銀行や大手資産運用会社は、従来の決済システムと同様の不正対策ツールを求めており、この機能はその需要に応えるものだ。

取消機能が実装されれば、USDCが主流の金融サービスに組み込まれる流れが加速し、より安全な仮想通貨投資環境を求める機関投資家にとって魅力的な要素となる。

この動きは、規制当局が求める消費者保護の要件を先取りする可能性も秘めている。

USDCの取消機能が問う、分散化の理想と中央集権化リスク

一方で、この提案は仮想通貨コミュニティ内で中央集権化への懸念を引き起こしている。

サークル社や特定の検証者に取引を覆す権限を与えることは、分散化というブロックチェーンの根本的な理想に反し、新たな中央集権リスクを生むためだ。

取引の不可逆性を重視する仮想通貨の利用者は信頼を失い、ユーザー層が分断される可能性も指摘されている。特に、分散性を重視するビットコイン(BTC)の支持者からは強い反発が予想される。

また、この機能は誰が取消の基準やプロセスを管理するのかという、新たな監督上の課題も生むことになる。

サークル社は、客観的な不正の基準をどう定義するか、取消権限の乱用をいかに防ぐかといった課題が残っていることを認めている。

今回の取り組みは、単なる不正対策に留まらず、資産のデジタル所有権や、ブロックチェーン技術が伝統金融と融合する際の思想的根幹に関わる議論に一石を投じるものとして、業界内で大きな議論を巻き起こしている。

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