イーサリアム財団は「1兆ドルセキュリティダッシュボード」でエコシステム安全性を監視。UXやインフラなどの領域でリスクを可視化。
イーサリアム財団は6日、エコシステム全体のセキュリティ状況を可視化する「1兆ドルセキュリティダッシュボード」を立ち上げた。
イーサリアムの安全性を包括監視
このダッシュボードは、イーサリアム(ETH)のエコシステムにおけるセキュリティの全体像を提供する包括的な監視ツールだ。
ユーザー体験(UX)、スマートコントラクトのセキュリティ、インフラとクラウドのセキュリティ、コンセンサスプロトコル、監視とインシデント対応、そしてソーシャルレイヤーとガバナンスという6つの重要な領域をカバーしている。
Now live: One Trillion Dollar Security Dashboard
A comprehensive view of Ethereum’s security across the ecosystem by the Ethereum Foundation. pic.twitter.com/dtWvz0ueAh
— Ethereum Foundation (@ethereumfndn) February 5, 2026
財団によると、この取り組みは2025年5月に開始された「1兆ドルセキュリティプロジェクト」の第一段階にあたるという。
ダッシュボードでは、これら6つの領域にわたる92の安全管理項目を追跡し、定量的な指標と定性的な評価の両方を提供する。
これは、過去10年以上にわたる実際の運用環境での経験から得られた教訓を形式化したものだ。
財団は、ネットワークの成長が中央集権的な管理に依存しないようにしつつ、増加する価値を保護するための規模拡大を支援する狙いがある。
ユーザー体験とインフラの脆弱性に焦点
ユーザー体験におけるセキュリティは、今回の取り組みで特に重視されている分野の一つだ。
財団は、ユーザーがプロトコルそのものではなく、ウォレットや分散型アプリケーション、ブラウザ拡張機能を通じて対話するため、損失の多くがこの部分で発生していると指摘する。
イーサリアムの取引は原子的であり不可逆的であるため、一度のミスが多額の損失につながる可能性があるためだ。
具体的には、鍵管理の問題や内容が不明瞭なまま署名を行う「ブラインド署名」のリスク、インターフェースの断片化などが脆弱性として挙げられている。これらは実際に観測された攻撃パターンと密接に関連しているという。
また、インフラストラクチャの脆弱性も重要な要素であり、サービスの停止や検閲、データログの記録などが、レイヤー1が安定していてもユーザー体験に悪影響を及ぼす可能性があるとしている。
具体的な対策とイーサリアムの今後の展望
ダッシュボードでは、現在開発中のいくつかの優先的なセキュリティイニシアチブも明らかにされた。
これには、ユーザーが何に署名しているかを常に明確に示す「クリア署名」基準の実装や、監査結果をオンチェーン上の検証済みバイトコードに直接リンクさせる「オンチェーン監査証明」などが含まれる。
これにより、誰でもコードと監査結果の両方を検証できるようになる。
コンセンサスプロトコルに関しては、クライアントの多様化やステークの分散化、検閲耐性メカニズムの強化が進められている。
財団はコンセンサスプロトコルを「エコシステムの最強の柱」と位置付ける一方で、ソーシャルガバナンスについては成熟に時間がかかるものの、重要なセキュリティ領域であると認識している。
長期的には量子耐性のある暗号技術の研究も進められており、技術と社会の両面から数兆ドル規模のエコシステムを支える体制を構築していく方針だ。
こうしたセキュリティ向上は、Web3の普及に向けた基盤強化にも繋がるだろう。
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