イーサリアム開発者がZK技術を活用したシークレットサンタ匿名プロトコルのテストを開始。DAO投票やプライバシー保護への期待高まる。
イーサリアム(ETH)の開発者たちは2日、ゼロ知識証明を活用した新たなプライバシープロトコルのテストを開始した。
この新たな取り組みは、欧米のクリスマスの伝統行事であるシークレットサンタをモデルにしている。これは、参加者が匿名でプレゼントを交換し合う仕組みをブロックチェーン上で再現しようとするものだ。
イーサリアムの研究フォーラムによると、このプロトコルは中央管理者を必要とせず、システムが自動的に機能するように設計されている。
ゼロ知識証明による匿名性の確保
最大の特徴は、ゼロ知識証明(ZK)と呼ばれる暗号技術を活用している点にある。通常、イーサリアム上の取引はすべて公開され、誰でも閲覧できる状態にあるが、これがプライバシーの観点で課題となっていた。
今回のプロトコルでは、トランザクションリレイヤーという中継技術とZKを組み合わせることで、この問題を解決しようとしている。
具体的には、参加者の身元や取引の発生元を隠したまま、正当な手続きが行われたことだけを証明する仕組みだ。これにより、外部からは誰が誰とペアになったのか分からない状態で、安全に情報のやり取りが可能になる。
また、ブロックチェーン上で真のランダムを作り出す難しさという技術的な課題にも対処している。
参加者はそれぞれ独自の暗号鍵を生成し、それを公開鍵として共有する手順を踏む。システムはこれを利用して、自分自身を選んでしまうことや、二重投票などの不正を防ぎながら、公平なマッチングを実現している。
DAOや投票システムへの応用も視野に
この技術開発は、単なるプレゼント交換機能の実装だけが目的ではない。開発者たちは、この技術が将来的に、より広範なコラボレーションツールへと進化する可能性を示唆している。
例えば、DAO(自律分散型組織)におけるガバナンス投票への活用が挙げられる。誰がどの票を投じたかを秘匿しつつ、集計結果の正当性だけを証明できるため、報復や同調圧力を恐れずに意思表示が可能になるだろう。
さらに、企業や組織内での内部告発のための安全なチャネル構築や、特定の条件を満たしたユーザーへのプライバシーを保護したエアドロップなどへの応用も期待されている。
透明性が重視されるブロックチェーンにおいて、個人のプライバシーをどのように守るかという課題に対し、今回のプロトコルは一つの解決策を提示していると言える。
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