ビットコインマイニング企業Hut8が第3四半期決算を発表。自己管理するBTC準備金は前年比50.4%増の1万3696BTCに達した。
ビットコインマイニングとエネルギーインフラを手掛けるHut 8は4日、2025年第3四半期の決算を発表し、自己管理するビットコイン(BTC)準備金が前年比で50%以上増加したことを明らかにした。
2025年9月30日時点でのビットコイン準備金は1万3696BTCに達し、2024年同期の9106BTCから50.4%の増加となった。四半期末の市場価格に基づくと、この準備金の価値は約16億ドルに相当する。
この増加により、Hut 8は世界のビットコインを保有する上場企業トップ10入りを果たしたことが、同社の投資家向け説明会で確認された。
収益の急増と事業多角化の成功
同社の第3四半期の総収益は8350万ドルで、前年同期比91%増という大幅な伸びを記録した。この成長は、ビットコインマイニング事業とエネルギーインフラサービスへの戦略的拡大が牽引したものである。
特に注目されるのは、新たに開始したデジタル資産のカストディサービスから510万ドルの収益を上げた点だ。これは、Hut 8が従来のマイニング事業を超えた多角化に成功したことを示している。
同社は無借金経営を維持しつつ、1億2800万ドルの現金準備金を確保しており、規律ある資本配分を行っている。
成長を支えた戦略と市場環境
準備金の大幅な増加は、エネルギーインフラとの統合という同社の戦略転換が主な要因である。この戦略により、市場の変動にもかかわらず安定したマイニング生産量を維持することが可能になった。
オンタリオ州の施設における電力容量の拡大と、エネルギー裁定取引戦略の最適化が、運用コストを前年比で34%削減したことが収益増に直接つながっている。
市場環境も追い風となった。過去12カ月でビットコイン価格が120%上昇したことで、保有資産のドル換算価値が大幅に増加した。また、2024年から2025年の市場サイクルにおける競合他社の破綻により、割安なマイニング資産を取得する機会を得たことも、準備金の増加を加速させた一因である。
今回の発表により、Hut 8のビットコイン保有量はマラソン・デジタル・ホールディングス(1万2500BTC)を上回ったが、ストラテジー社(64万808BTC)には及ばない。
同社は2026年第2四半期までに電力網接続容量を450MW拡大する計画も発表しており、2026年末までにビットコイン生産量を倍増させる見込みだ。このような企業の成長は、仮想通貨投資市場全体への期待感を高める要因となるだろう。
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