米国の空爆を受け、イラン議会がホルムズ海峡の封鎖案を可決。世界の石油供給と仮想通貨市場に影響が広がっている。
イラン議会は22日、米国の核施設空爆への対抗措置として、ホルムズ海峡を封鎖する提案を可決した。
この措置は、同国の最高安全保障委員会の最終承認を経て発効する見通しだ。
ホルムズ海峡は世界の石油輸送量の約20%が通過する重要な海上交通路であり、封鎖されれば世界経済に甚大な影響が及ぶ可能性がある。
この決定は、米軍による「オペレーション・ミッドナイト・ハンマー」と呼ばれるイラン核施設への空爆を受けて下された。
世界の石油供給路に緊張高まる
ホルムズ海峡は世界の海上石油貿易の4分の1を占める重要な通路であり、全石油移動量の約5分の1にあたる。
米エネルギー情報局によると、イランは2025年第1四半期にホルムズ海峡経由で日量150万バレルを輸送している。
マルコ・ルビオ米国務長官は、中国に対してイランへの圧力をかけるよう要請した。
ルビオ長官は「中国政府に電話するよう勧める。彼らは石油をホルムズ海峡に大きく依存しているからだ」と述べ、海峡封鎖が中国のような石油依存経済に与える経済的打撃を強調した。
専門家は、海峡封鎖がイランにとって経済的自殺行為になると指摘している。
封鎖は近隣諸国や貿易相手国、特に石油輸出の大部分を占める中国との関係悪化を招く可能性がある。
地政学リスクが仮想通貨市場を直撃
このニュースを受け、暗号資産(仮想通貨)市場ではリスク回避の動きが強まった。
代表的な仮想通貨であるビットコイン(BTC)は10万ドルを下回り、一時9万8300ドルまで下落した。
イーサリアム(ETH)も4%下落し2200ドルを下回り、リップル(XRP)は4月以来初めて2ドルを割り込んだ。
過去24時間で仮想通貨の清算額は7億100万ドルに達し、その大部分である6億1869万ドルがロングポジションだった。
暗号資産全体の時価総額は3兆2,500億ドルまで減少し、前日から4.4%下落した。
石油価格急騰が経済全体に波及
JPモルガンは、海峡の完全封鎖により石油価格が1バレル130ドルまで上昇する可能性があると警告している。
一部のマクロ調査会社は、このような石油価格の急騰により米国のインフレ率が5%に向かう可能性があると指摘している。
原油価格はすでに上昇圧力を受けており、ブレント原油は一時81.40ドルの5カ月ぶり高値を記録した。
地政学的リスクの高まりにより、投資家は投機的資産からの撤退を進めている。
金利上昇への懸念も相まって、新しい仮想通貨市場は当面不安定な状況が続くと予想される。
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