日本政府は地方債のデジタル証券化を可能にする法案を2026年国会に提出する。ブロックチェーンでコスト削減と投資家管理を効率化する。
日本政府は23日、地方自治体が発行する地方債をデジタル証券として発行可能にするための関連法案を、2026年の通常国会に提出する方針を固めたと報じられた。
デジタル証券化による効率化と透明性
日本経済新聞の報道によると、政府はブロックチェーン技術を活用したセキュリティ・トークンによる地方債発行を推進する方針だ。
新たな枠組みは、地方自治体との協議を踏まえたうえで法整備を進め、2025年12月末までに正式決定される見通しである。
現行の地方債発行では、証券会社や銀行などの仲介業者を介するのが一般的だが、法改正により自治体が投資家へ直接発行できる仕組みが検討されている。これにより、仲介コストの削減や手続きの迅速化が期待される。
また、デジタル証券化によって投資家情報をリアルタイムで把握でき、即時決済も可能となる。
所有者管理の効率化を通じて、金融庁が進める資本市場の近代化にも資する取り組みであり、地方債はそのパイロットケースと位置づけられている。
トリプルリターンで投資家層を拡大
この政策転換の背景には、ブロックチェーン技術を活用した新たな資金調達モデルへの期待がある。証券弁護士の本田元治氏は、デジタル地方債の成功にはトリプルリターンの設計が不可欠だと指摘する。
これは、金銭的利回りに加え、地域施設の利用権などの非金銭的特典、さらに地域活性化に貢献するという社会的・心理的価値を組み合わせる考え方だ。
利回りが低くても、こうした付加価値を提供することで投資家の関心を引きつけられる可能性がある。野村総合研究所のデータでも、社会的リターンが投資家の低利回りに対する許容度を高める効果が示されている。
実装面では、自治体による自己募集や、利払いに地域銀行発行のステーブルコインを活用する仕組みなどが検討されている。これにより、発行コストの高さや投資家層の限定といった課題の解消を目指す。
北海道や島根県では、すでに試験的な取り組みの準備が進んでいるという。
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