JPモルガンはコインベースがBaseトークンを発行することで最大340億ドル(約5兆円)の価値を生むと予測。同社の株価評価を引き上げた。
大手金融機関のJPモルガンは24日、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースがBaseネットワークのトークンを発行することで、最大340億ドル(約5兆2020億円)の価値を生み出す可能性があると分析した。この分析を受け、同行はコインベースの株価評価を引き上げている。
Baseはコインベースが開発したイーサリアム(ETH)ベースのレイヤー2ネットワークであり、今回の分析は同社の新たな収益源として注目される。
コインベース株価評価をオーバーウェイトに引き上げ
JPモルガンはコインベースの株式評価をオーバーウェイトに引き上げ、目標株価を404ドルに設定した。これは、Baseネットワークの将来的なトークン発行が、120億ドルから340億ドル規模の市場機会を生み出すとの予測に基づいている。同行は、このうちコインベースが確保できる価値は40億ドルから120億ドルに上ると試算する。
2023年8月にローンチしたBaseは急速に成長し、DefiLlamaのデータによると、預かり資産総額は50億ドルを超え、1日のトランザクション数は900万件以上に達している。コインベースのブライアン・アームストロングCEOはBaseトークンの発行を検討していることを認めているが、「まだ確定的な計画はない」と強調した。
JPモルガンは、トークンが発行されれば、開発者やバリデーター、コミュニティに優先的に配布されるとみている。
隠れた成長エンジンとしてのBaseネットワーク
JPモルガンはBaseをコインベースの隠れた成長エンジンと位置づけている。従来の取引所事業が市場サイクルに左右されるのに対し、Baseは安定したインフラ収益を生み出す戦略的な転換点となる。同行は、Baseがオンチェーン取引や開発活動から手数料を得る、巨大な手数料主導のエコシステムに成長する可能性があると指摘した。
JPモルガンのアナリスト、ケネス・ワーシントン氏は、コインベースの評価をニュートラルからオーバーウェイトへ引き上げ、目標株価も342ドルから404ドルに修正。この発表後、コインベースの株価は約4%上昇した。Baseの成功は、コインベースの事業をよりスケーラブルで予測可能、かつ価値あるものに変える力を持つと分析されている。
ウォール街が注目するWeb3インフラ
JPモルガンがBaseに肯定的な見方を示す背景には、いくつかの要因がある。コインベースがUSDCの利回りプログラムを調整して収益性を高めようとしている点や、DEXアグリゲーターの統合により競争力を強化している点が挙げられる。また、高コストなレイヤー1ブロックチェーンから低コストなBaseへ開発者が移行しており、機関投資家の採用も進んでいる。
JPモルガン自身もBase上で資産をトークン化した実績があり、これは機関投資家の信頼が高まっている証拠と言えるだろう。同行の分析は、ウォール街が仮想通貨の価格だけでなく、Web3インフラを真剣に評価し始めたことを示す強力なシグナルの一つだ。
Baseトークンの発行は、ネットワークの成功を具体的な収益につなげ、コインベースの長期的価値を高める重要な一歩として期待されている。
next