ビットマインはイーサリアム約4.8万枚を追加取得した。マイニング依存を脱却し、ステーキングを見据えた財務戦略転換が鮮明になった。
マイニングから購入型モデルへ転換
同社は2025年6月以降、市場から約400万ETHを取得してきた。現在は約30億ドルの含み損を抱えるものの、イーサリアムの保有方針に変更はないとしている。 一般的にマイニング企業は、自社でマイニングした暗号資産（仮想通貨）を保有するケースが多い。これに対し、ビットマインはマイニングに依存せず、市場から直接購入する戦略を採用している点が特徴だ。 こうした戦略の背景には、イーサリアムの特性がある。2022年のシステム移行以降、イーサリアムはステーキングによる利回り獲得が可能となった。 ビットコイン（BTC）にはないインカムゲインの仕組みは、企業の資産運用手法として注目されている。株式の配当に近い性質を持つため、新たな収益源としての期待が高まっている。
米資産運用会社アーク・インベストは15日、仮想通貨関連企業と自社ビットコインETFの追加取得を明らかにした。今回は、イーサリアムの財務管理を担うビットマイン株を約55万株購入し、自社運用のビットコインETFも追加取得した。同社は割安と判断した資産や金融インフラ企業への集中投資を進めており、過去にもビットマインやコインベース、サークルなどへ投資してきた。GENIUS法やMiCA規制など規制整備を背景に機関投資家の参入が進む中、アークは長期的な市場変化を見据え、仮想通貨インフラへの投資を加速させている。
ETHGasは、イーサリアムのブロックスペースを対象とする先物市場の立ち上げに伴い、シードラウンドで1200万ドルを調達した。Polychain Capitalが主導し、複数の仮想通仮想通貨系投資家が参加した。あわせて、バリデーターやブロックビルダーなどから約8億ドル相当のブロックスペース流動性提供のコミットメントを獲得した。ETHGasは、ブロック生成前に最大64ブロック分のブロックスペースを売買可能とし、ガス代のヘッジや価格急騰の回避を実現する。MEV収益の向上によるバリデーター利回り改善も特徴で、将来的にはイーサリアムの高速化やリアルタイム実行の実現を目指している。
米金融大手JPモルガン・アセット・マネジメントは15日、イーサリアム上でトークン化したマネー・マーケット・ファンド「My OnChain Net Yield Fund（MONY）」の提供を開始した。自己資金1億ドルを元手に運用を始め、適格投資家が対象となる。MONYはパブリックなイーサリアム上で発行され、同社のデジタル資産基盤Kinexysを活用する。投資家は日次利息を受け取れるほか、USDCによる償還も可能だ。最低投資額は100万ドル。資産のトークン化を巡り、ブラックロックなど大手も参入しており、市場拡大が続いている。
リップル社は15日、米ドル連動型ステーブルコインRLUSDを、イーサリアムの複数のレイヤー2ネットワークへ拡大すると明かした。正式開始に先立ち、Optimism、Base、Ink、Unichain上でテストが行われる予定で、現在は規制当局の承認待ちとなっている。今回の拡大では、クロスチェーンプロトコルであるワームホールのネイティブトークン転送（NTT）技術を採用し、ラッピングを伴わずにチェーン間移動を可能にする。RLUSDはニューヨーク州金融サービス局の信託憲章の下で発行されており、連邦レベルの監督も視野に入る。2026年の本格実装を目指す。
ビットコインの半減期による報酬減少やエネルギー価格の高騰を背景に、マイニング業界では特定資産への依存を避けるため、財務の多角化が進んでいる。ビットマインのトム・リー会長は市場の安定性に言及し、今回の大規模なイーサリアム購入は長期成長への自信を示すものと位置づけた。こうした動きは他の機関投資家を呼び込む可能性がある一方、規制動向や市場の変動性といったリスクも残る。戦略の成否は今後のイーサリアム価格や市場成熟度に左右され、アルトコイン市場全体への波及も注目される。