米インタラクティブ・ブローカーズが、ステーブルコインによる証券口座への直接入金を開始した。銀行を介さず、米ドルへ自動変換される。
自動的なドル変換と市場への影響
この動きは、同社会長のトーマス・ピーターフィ氏が10日の会議で予告していたものだ。 入金されたステーブルコインは、取引のために自動的に米ドルへと変換される仕組みだ。顧客は複数の資産クラスですぐに取引を開始することが可能になる。 同社は第3四半期時点で約413万口座、7575億ドルの顧客資産を管理している。この規模の伝統的な証券プラットフォームが、直接的なステーブルコイン入金を統合するのは初めてだ。 チャールズ・シュワブやフィデリティといった競合他社は、依然として仮想通貨の入金を受け付けていない。インタラクティブ・ブローカーズは、デジタル金融と伝統的金融の橋渡し役として先行している。 市場では、ビットコインをはじめとする主要銘柄への対応が待たれている状況だ。ステーブルコイン関連ニュース
動画共有大手YouTubeは11日、米国のコンテンツクリエイター向けに、PayPalのステーブルコイン「PYUSD」で報酬を受け取れる新たな支払いオプションを開始した。フォーチュン誌によると、PayPalの暗号資産部門責任者メイ・ザバネ氏とGoogleの広報担当者が導入を確認している。 PYUSDは米ドル連動型のステーブルコインで、Paxosが発行し、2023年にイーサリアムブロックチェーン上で公開された。本機能は現時点では米国のクリエイターに限定されている。 YouTubeは過去4年間で累計1,000億ドル超をクリエイターに分配しており、今回の導入はステーブルコインを活用したデジタル決済の実用化を大きく前進させる動きといえる。
ステーブルコイン大手テザー社は12日、イタリアの名門サッカークラブ、ユベントスの買収を提案したと発表した。オーナー企業Exorが保有する株式65.4%を全て現金で取得する拘束力のある提案で、成立すればアニェッリ家による約100年の支配体制が終わる可能性がある。アルドイノCEOは生涯のユベントスファンであるとし、クラブの伝統への敬意から決断したと説明。テザーは既に10%超を保有しており、取得後は残る株式についても公開買付けを行う方針だ。USDTを基盤に100億ドル超の純利益を確保する財務力を背景に、長期的なクラブ支援を目指す。
暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは11日、ワールド・リバティ・ファイナンシャル発行のステーブルコイン「USD1」を主要な取引・担保インフラに統合した。これにより、USD1はバイナンスコイン(BNB)やイーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)など主要銘柄と直接取引が可能となり、他のステーブルコインを介さず交換できる。USD1は米短期国債や現金で完全に裏付けられ、時価総額は約27億ドル。USD1とUSDT、USDCの取引ペアでは手数料無料措置も導入された。背景にはMGXによる20億ドルの戦略投資があり、担保構造や規制対応を強化しつつ、USDT以外のステーブルコイン多様化を進める狙いがある。
決済大手ストライプは10日、モバイル決済アプリ、ヴァローラの開発チームを買収した。ヴァローラはCeloブロックチェーン上で展開され、新興市場におけるステーブルコイン決済を支えてきたセルフカストディ型ウォレットだ。今回の買収は、銀行アクセスが限られるラテンアメリカやアフリカでの事業拡大を見据えた戦略の一環で、通信環境が不十分な地域でも使いやすいモバイル設計の知見が評価された。ヴァローラの技術や既存プラットフォームは含まれず、運営はcLabsが継続する。ストライプはUSDC決済など既存のステーブルコイン事業と人材を統合し、金融アクセス拡大を図る。
今回の決定の背景には、ステーブルコイン市場の急成長がある。市場規模は発表直前に約3070億ドルに達し、USDTが約29兆円、USDCが約12兆円を占めた。2025年のGENIUS法を含む規制整備で制度面の不確実性が低下し、イーサリアムやトロン、ソラナでの流動性拡大も金融インフラへの統合を後押しした。同社は安定性を重視し段階導入を進め、将来的には24時間入金や独自ステーブルコイン発行も検討している。
