ビットコインマイニング大手MARAは、AI事業との統合により大幅利益を計上。仮想通貨価格の上昇も追い風となったが株価は下落。
ビットコイン(BTC)マイニング大手のマラソン・デジタル・ホールディングス(MARA)は4日、2025年第3四半期の決算を発表した。
同社は、ビットコイン事業に加え、新たに電力とAI資産を統合することで、過去最高の利益を記録した。
同社は、1億2310万ドルの純利益を報告し、前年同期の1億2480万ドルの純損失からの大幅な好転となった。
売上高は前年同期比92%増の2億5240万ドルに達したが、市場のコンセンサス予想を330万ドル下回った。
記録的な利益と市場の反応
決算報告によると、同社は当四半期中に2144 BTCをマイニングし、さらに2257 BTCを追加購入した。これにより、2025年9月30日時点でのビットコイン総保有量は5万2850 BTCとなり、前年同期の2万6747 BTCから98%増加した。
運用面では、稼働ハッシュレートが前年同期比64%増の60.4 EH/sに成長し、マイニングコストは15%改善した。調整後EBITDAは3億9560万ドルに達し、前年比で1671%という大幅な増加を記録している。
しかし、1株当たり利益が0.27ドルと、アナリスト予想の0.45ドルを40%下回ったことが嫌気された。この結果を受け、決算発表後の同社株価は5.9%下落し、16.36ドルで取引を終えた。
AIへの戦略的転換と事業拡大
今回の収益成長の主な要因は、ビットコインの平均価格が前年同期比で88%上昇したことによるものだ。これは、実際の採掘量の増加よりも収益成長への貢献が大きかったことを示している。
同社は「AIコンピューティングの急増する需要」に応えるため、「ビットコインマイニングを電力網やデータセンターと統合するツールを構築している」と述べており、AIインフラへの多角化を進めている。
この戦略は、同じく採掘企業のテラウルフやカンゴなどが追求する業界全体のトレンドを反映している。
決算発表と同日、マラソン・デジタルはマラソン・ペトロリアムの子会社MPLXとの戦略的提携を発表した。
この提携により、西テキサス州で発電所とデータセンターのキャンパスを開発する計画だ。また、フランス電力の子会社であるExaionの株式約64%を取得する契約も締結した。
今回の決算は、企業が仮想通貨市場の変動にいかに対応しているかを示す一例と言える。
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