Coinspeakerの専任暗号資産ライター。2020年から仮想通貨投資を始め、ビットコイン、NFT、DeFiへの投資経験がある。2025年6月にCoinspeakerに加わる。
決済大手マスターカードは29日、暗号資産(仮想通貨)関連インフラを手がけるスタートアップ企業ゼロハッシュの買収交渉を進めていると報じられた。
米経済誌フォーチュンが関係者5人の話として伝えたところによると、交渉は最終段階にあり、企業価値は15億~20億ドルと評価されているという。
マスターカードはシカゴを拠点とするゼロハッシュの買収に向け、交渉の最終段階にあるという。この買収が成立すれば、マスターカードにとってステーブルコイン分野における最大級の動きの一つとなる。
2017年に設立されたゼロハッシュは、企業が自社のサービスに仮想通貨関連の機能を統合するためのB2Bインフラを提供している。
具体的には、決済処理や取引プラットフォーム、ステーブルコインのソリューションなどをAPIを通じて提供し、企業がデジタル資産を扱う際の複雑な規制や技術的課題に対応するのを支援する。
同社は2025年9月、Interactive BrokersやApollo、Point72 Venturesなどの機関投資家から1億400万ドルを調達した。この際の評価額は10億ドルに達しており、その成長性が高く評価されている。
仮想通貨業界の成長に伴い、ステーブルコイン関連企業は最も魅力的な買収対象の一つとなっている状況だ。この傾向は、決済企業ストライプがステーブルコインのスタートアップBridgeを11億ドルで買収した事例にも現れている。
ステーブルコインはブロックチェーン技術を活用することで、従来の国際送金網よりも高速かつ低コストな決済を可能にする。
ある調査レポートでは、機関投資家の採用や外国為替決済の増加により、ステーブルコインの決済高は2030年までに1兆ドルに達する見込みだ。こうした市場の成長を背景に、多くの投資家が仮想通貨投資に注目している。
しかし、それを支えるインフラはまだ未成熟である。そのため、マスターカードのような既存の大手金融機関は、自社で開発するよりも有望な企業を買収することで、市場での地位を迅速に確立しようとしている。
伝えられるところによると、仮想通貨取引所コインベースはマスターカードとの入札競争の末、別のスタートアップBVNKを買収したという。競争は一層激しさを増している。
ゼロハッシュは、単なるステーブルコイン関連サービスにとどまらず、企業が独自の仮想通貨取引プラットフォームを立ち上げる機能や、伝統的な金融資産をトークン化するためのAPIも提供しており、競合他社との差別化を図っている。
これにより、企業は仮想通貨購入のような基本的な機能から、より高度なサービスまでを顧客に提供できるようになる。
理論上、ステーブルコインはマスターカードの伝統的な手数料ビジネスを破壊する可能性を秘めている。
しかし同社は、顧客からのデジタル資産統合への需要の高まりを認識し、これまでも仮想通貨分野で戦略的な存在感を維持してきた。
今回の買収が実現すれば、マスターカードのブロックチェーン技術への取り組みは大きく加速するだろう。
世界中の銀行やフィンテック企業、加盟店といった広大なネットワークに対し、仮想通貨関連サービスを迅速に展開することが可能になる。
Disclaimer: Coinspeakerは公平で透明性の高い報道に努めています。この記事は正確かつタイムリーな情報提供を目的としていますが、投資助言ではありません。市場状況は急速に変化するため、投資判断の前に情報確認と専門家への相談を強く推奨します。
Coinspeakerの専任暗号資産ライター。2020年から仮想通貨投資を始め、ビットコイン、NFT、DeFiへの投資経験がある。2025年6月にCoinspeakerに加わる。