Tristeroリサーチ、急拡大中のRWAトークン化への危険性を警告

Updated on 9月 9, 2025 at 3:47 pm UTC by · 1 min read

Tristero Researchは、RWAのトークン化が流動性のパラドックスを生み、2008年のような金融危機のリスクを増幅させると警告した。

調査会社のTristero Researchは5日、ローンや不動産などの現実世界資産(RWA)をトークン化する動きが流動性のパラドックスを生み出し、金融システム全体のリスクを増幅させる可能性があると警告する報告書を公開した

RWAトークン化の急成長と流動性のパラドックス

報告書によると、トークン化されたRWA市場は、2020年の8500万ドルから2025年には265億ドルへと、わずか5年で245倍に急拡大した。

この成長は、利回り、透明性、バランスシートの効率化を求める機関投資家の需要が牽引している。

市場価値の約90%をトークン化された米国債とプライベートクレジットが占め、インフラとしてはイーサリアム(ETH)が55%のシェアを持つ。

Tristero Researchは、この現状を金融界で最も動きの遅い資産が、史上最も速い市場に結び付けられていると指摘する。

トークン化は常時取引可能な流動性を提供するとうたうが、実際には非流動的な核を、流動性の高い殻で包んだ幻想に過ぎないという。

ブラックロックのような大手金融機関がトークン化された米国債を発行し、不動産が細分化され分散型取引所で取引されるなど、市場は拡大の一途をたどる。

業界の一部予測では、市場規模は2030年までに16兆ドル、将来的には400兆ドルに達する可能性もあるとされ、潜在的な脆弱性の特定が急務となっている。

2008年金融危機の再来か?システムリスクの増幅

最大のリスク要因は、不動産や民間融資といった現実資産のゆっくりとした性質と、ブロックチェーン市場の高速な取引メカニズムとの間の根本的なミスマッチにある。

報告書はトークン化はオフィスビルや金の延べ棒の根本的な性質を変えず、これらは契約や裁判所に縛られた非流動資産だと説明する。

トークン化は、これらの資産を即座に取引、レバレッジ、清算できる超流動的なで包むことで、本来数カ月かけて表面化する信用リスクを、数分で伝染する高頻度のボラティリティリスクに変換してしまう。

さらに、RWA-squaredと称される仕組商品や指数などのデリバティブは、DeFiのインフラの弱点を通じて、このシステムリスクを増幅させる可能性がある。

Tristero Researchは、この構図が2008年の金融危機と酷似していると警告する。

当時、ウォール街は非流動的な住宅ローンを債務担保証券(CDO)などの金融商品に変えたが、債務不履行が始まると、デリバティブ市場は数日で崩壊し、世界的な金融ショックを引き起こした。

Tristero Researchは、トークン化を放棄するのではなく、流動性のパラドックスを念頭に置いた発展を促している。

具体的には、現実資産の価値を正確に反映する保守的なオラクルの実装、市場の過熱を防ぐサーキットブレーカーの導入、連鎖的な破綻を防ぐための厳格な担保パラメータの設定などを提言した。

これらは、次世代のインターネットとされるWeb3とは何かという議論においても、重要な視点となる。

報告書は、適切な安全策がなければ、TradFiとDeFi待望の架け橋が、新たなブロックチェーン上のサブプライム危機の火種になりかねないと結論付けている。

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