米SECは、ブラックロックのイーサリアムETFへのステーキング追加提案を検討する一方、グレースケールの同様の提案を延期した。
米証券取引委員会(SEC)は29日、資産運用大手ブラックロックが申請した現物イーサリアムETFへのステーキング機能追加に関する提案の検討を開始した。
この動きは、機関投資家向け暗号資産(仮想通貨)商品の新たな可能性を示すものとして注目されている。
ブラックロックの提案とSECの姿勢
ブラックロックの提案は、同社のETF銘柄であるイーサリアム・トラスト(ETHA)が保有するイーサリアムを、直接または承認されたプロバイダーを通じてステーキングすることを可能にするものだ。
ステーキングによって得られる報酬はファンドの収益として扱われ、年間利回りを約3%向上させる可能性がある。
この申請は、SECが「プロトコルでのステーキング自体は証券の提供にはあたらない」との見解を明らかにしたことを受けて行われた。この規制上の明確化が、ブラックロックのような大手資産運用会社がステーキングを組み込んだ商品を設計する道を開いた形だ。
承認されれば、ETHAはフィデリティや21Sharesなど、すでに同様の申請を行っている競合他社に続くことになる。
グレースケールの遅延と市場の動向
一方でSECは15日、グレースケールが提出したイーサリアム・トラストおよびミニ・トラストETFへのステーキング統合に関する提案の審査を2025年6月1日まで延期すると発表。
2月に提出されたこの提案は、投資家が価格上昇だけでなく、ステーキング報酬を通じて受動的な収益を得られるようにすることを目的としている。
この延期は、ブラックロックを含む複数の発行体から同様の申請が相次ぐ中、SECが市場への影響を慎重に評価していることを示すものだ。
市場はすでにビットコインETFの承認を経験しており、イーサリアムETFがそれに続くかどうかが焦点となっている。申請者によって審査スケジュールに差が生じている状況は、一部から処理の公平性について疑問を投げかけられている。
市場では、イーサリアムのステーキングに対する機関投資家の関心が高まっており、ステーキング利回りは過去1年で最高水準に達した。
こうした背景から、アナリスト一部は、2025年後半にはステーキング機能付きのイーサリアムETFが承認される可能性があると見ている。このような新しい金融商品の登場を受け、仮想通貨投資の制度設計が新たな段階に入っている。
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