
Coinspeakerの専任暗号資産ライター。2020年から仮想通貨投資を始め、ビットコイン、NFT、DeFiへの投資経験がある。2025年6月にCoinspeakerに加わる。
米SECは5日、特定の米ドル連動型ステーブルコインを企業の貸借対照表上で現金同等物として扱うことを認める暫定ガイダンスを示した。
この動きは、SECのポール・アトキンス委員長が推進する、暗号資産(仮想通貨)規制の現代化と、従来の金融機関が仮想通貨市場へ参入する際の障壁を取り除くための広範な取り組みの一環となる。
新しい指針は、これまで機関投資家の市場参加を妨げてきた会計上の規則を見直すものであり、規制の明確化を目指すSECの姿勢を反映している。
今回のガイダンスが適用されるのは、厳格な基準を満たすステーブルコインのみとなる。具体的には、米ドルと1対1の価値を維持し、その価値が現金または米国債によって完全に裏付けられている必要がある。
さらに、保有者がいつでもドルに償還できる権利が保証されていなければならない。このため、サークル社が発行するUSDCやテザー社のUSDTのような、低リスク資産に裏付けられたステーブルコインが主な対象となるとみられる。
一方で、アルゴリズムによって価値を維持するステーブルコインや、利回りを生むタイプのトークンは対象から除外された。SECはこれらの資産が持つ価格変動リスクや構造的な複雑さを問題視しており、今回の措置は投資家保護を優先した結果と言えるだろう。
この決定は、よりボラティリティの高いアルトコイン市場とは一線を画すものであり、安定性を重視する規制当局の姿勢を示している。
この会計上の明確化は、ステーブルコイン発行体にとって追い風となる。コンプライアンスの道筋がより明確になり、主流の金融システムでのステーブルコイン採用が加速する可能性がある。
また、企業や機関投資家は貸借対照表の報告が簡素化され、法的なリスクも軽減される。これは、2025年に制定されたGENIUS法が求める、デジタル資産の準備金監査や透明性の確保といった目標とも一致する動きだ。
このような規制の明確化は、安全な仮想通貨投資環境の整備に向けた重要な一歩と評価されている。
ただし、今回のガイダンスはあくまで暫定的なものだ。SECは現在、より包括的な仮想通貨規制の枠組みを策定中であり、今回の措置はその過程における会計上の曖昧さを解消するためのものと位置付けられている。
今後は市場の動向を踏まえ、ビットコインの価格変動やそれがステーブルコイン市場に及ぼす影響なども含めて、規制のさらなる調整が検討される見込みだ。
Disclaimer: Coinspeakerは公平で透明性の高い報道に努めています。この記事は正確かつタイムリーな情報提供を目的としていますが、投資助言ではありません。市場状況は急速に変化するため、投資判断の前に情報確認と専門家への相談を強く推奨します。
Coinspeakerの専任暗号資産ライター。2020年から仮想通貨投資を始め、ビットコイン、NFT、DeFiへの投資経験がある。2025年6月にCoinspeakerに加わる。