英スタンダードチャータード銀行は、規制明確化を背景に2028年までに76兆円超の銀行預金がステーブルコインへ流出する可能性を指摘。
スタンダードチャータード銀行は27日、暗号資産(仮想通貨)の一種であるステーブルコインの普及が、従来の銀行預金に対する脅威になり得るとする調査レポートを公開した。
同行のデジタル資産調査チームによると、2028年までに最大で5000億ドル(約76兆5000億円)がデジタル資産市場へ移動する可能性があるという。
同行のデジタル資産調査責任者であるジェフ・ケンドリック氏は、米国の銀行預金がステーブルコインの時価総額の3分の1相当額だけ減少すると予測している。
現在、米ドルに連動するステーブルコインの市場規模は約3010億ドルに達しており、すでに数百億ドル規模の影響が示唆されている。
規制の明確化が資金移動を加速
レポートでは、米国で審議されている「CLARITY法」が重要な転換点になると指摘している。
法案が成立すれば規制の不透明さが解消され、一般利用者にとってステーブルコインがより身近で信頼できる存在になるとしている。
同行は、この法案が2026年第1四半期末までに可決されると見込む。
ステーブルコインの供給量は前年比約40%増の3000億ドル超に達しており、従来安全とされてきた銀行預金の地位も、ブロックチェーン技術の利便性向上に伴い揺らぎつつある。
銀行システムへの構造的なリスク
銀行にとっての大きな課題は、ステーブルコインの発行企業が保有する準備金が、銀行システムに十分に戻ってこない点にある。
ケンドリック氏の試算によると、テザーは準備金のわずか0.02%、サークルでも約14.5%しか銀行預金として保有していない。
この構造により、特に預金収入に依存する米国の地方銀行が脆弱な立場に置かれる可能性がある。レポートでは、ハンティントン・バンクシェアーズやM&T銀行などの具体的な名前を挙げ、リスクが高いと分析している。
業界全体でも懸念が広がっており、バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEOも最近、最大6兆ドルが銀行システムから流出する可能性に言及した。
これに対し、銀行側も独自のデジタル通貨発行や提携を模索するなど、金融インフラを巡る競争は新たな局面に入りつつある。
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