スウェーデン民主党議員が、ビットコインを戦略的準備金として導入する動議を提出。押収した仮想通貨を充てる「予算中立」なアプローチを採用。
スウェーデン議会の議員2名は1日、国の準備資産を多様化する戦略の一環として、ビットコイン(BTC)を戦略的準備金として導入するよう政府に求める動議を提出した。
この動きは、デジタル資産を国家戦略に組み込む世界的な潮流にスウェーデンも加わる意思を示すものであり、国際的な関心を集めている。
Sweden's Parliament acts on #Bitcoin! 🇸🇪
After JAN3's presentation at the Swedish Parliament, MPs @DennisDioukarev and David Perez submitted a motion to establish a Strategic Bitcoin Reserve and, crucially, to formally declare that Sweden will not introduce a CBDC. pic.twitter.com/T8mVFxlGki
— JAN3 (@JAN3com) October 1, 2025
スウェーデンのビットコイン戦略、デジタル軍拡競争への参加を提言
スウェーデン民主党に所属するデニス・ディウカレフ議員とダビド・ペレス議員が提出した動議「スウェーデンのビットコイン戦略」は、主にインフレ対策と国家資産の多様化を目的としている。
両議員はビットコインを「デジタルゴールド」と位置付け、スウェーデンが保有する金や外貨準備を補完する新たな資産クラスとして、政府がその導入を検討するよう要請した。
動議では、ビットコインが持つ固定された供給量と国家の金融政策からの独立性が、インフレ耐性を持つ独自の強みであると指摘されている。
両議員は、他国が準備資産の構築を進める「デジタル軍拡競争」が進行している現状を踏まえ、スウェーデンがビットコインの可能性を認識した国々の仲間入りをすべきだと主張した。
さらに、動議は中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入につながる法改正を行わないよう政府に要請する内容も含まれている。
ビットコイン準備金、押収資産を活用した予算中立の新アプローチ
今回の提案における特筆すべき点は、ビットコイン準備金の資金源として、政府の新規支出を伴わない「予算中立」なアプローチを採用していることにある。
具体的には、政府が押収した暗号資産(仮想通貨)を準備金に充当することを提案している。
この背景には、2024年11月に施行された法律がある。この法律により、スウェーデン政府は、捜査対象外の人物からでも仮想通貨を含む贅沢品を押収することが可能になっている。
押収されたデジタル資産を売却するのではなく、国の戦略資産として保有することで、納税者に新たな負担をかけることなく準備資産の多様化を実現する狙いだ。
米国では、トランプ大統領が押収資産を元に連邦ビットコイン準備金を設立する大統領令に署名しており、またフィンランドや英国なども押収を通じてビットコインを蓄積している。
ビットコイン現物ETFの承認など、機関投資家の参入が相次ぎ市場が成熟する中で、国家レベルでの採用事例は、ビットコインの今後の価値と役割を占う上で重要な指標となる。
スウェーデン議会の動向は、国際社会におけるデジタル資産の認識と地位に新たな一石を投じる可能性がある。
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