トロン・テザー支援の犯罪対策ユニット、不正資金3億ドルを封鎖

Updated on 11月 3, 2025 at 2:45 pm UTC by · 1 min read

テザーが支援するT3金融犯罪対策ユニットは3億ドルの不正資金を凍結。ステーブルコイン業界の自主的なセキュリティ維持能力を示した。

T3金融犯罪対策ユニット(T3 FCU)は31日、設立から1年で3億ドル以上の不正資金を凍結したと明かした

T3は、ステーブルコイン発行企業のテザー、ブロックチェーンネットワークのトロン(TRON)、ブロックチェーン分析企業TRM Labsが支援するタスクフォースであり、この取り組みは国際的な法執行機関から高く評価されている。

T3 FCUは、ステーブルコイン業界が自らセキュリティを維持・強化できることを示す事例となり、この成果は暗号資産(仮想通貨)エコシステムの健全化に向けた重要な一歩とみられている。

世界的な法執行機関との連携で成果

T3 FCUは2024年9月、トロンブロックチェーン上のステーブルコイン活動を監視・浄化する目的で設立された。しかし、その活動は急速に拡大し、現在では包括的なグローバル法執行モデルへと進化している。

同ユニットは、世界中の法執行機関と直接連携する専門の金融犯罪対策部隊として機能する。仮想通貨を利用した犯罪ネットワークの検知、追跡、摘発を支援し、これまでに5大陸23の法域で活動を展開した。

主な対象はマネーロンダリング、投資詐欺、テロ資金供与、組織犯罪など多岐にわたる。米国だけでも37件の事件で8300万ドルを凍結しており、これは凍結総額の27%を占める。

最近では、ブラジル連邦警察が大規模なマネーロンダリング事件であるルソコイン作戦での協力に対し、T3 FCUに公式な謝意を表明した。この作戦では、犯罪グループに直接関連する430万 USDTを含む資産が凍結された。

官民連携が示す仮想通貨の未来

T3 FCUの有効性は、テザーのステーブルコインに関する専門知識、トロンブロックチェーンインフラ、TRM Labsの分析能力を組み合わせた三者協力体制によって支えられている。テザーのパオロ・アルドイノCEOによると、同社は世界280以上の法執行機関と協力関係にあるという。

同ユニットが対応した犯罪で最も多いのは、不正商品・サービスに関連するもので全体の39%を占めた。次いで、被害者を偽の取引に誘導する「豚の屠殺詐欺」などの仮想通貨詐欺行為が続く。北朝鮮が関与したとされるBybitのハッキング事件では1900万ドルを凍結した。

最近、仮想通貨取引所大手のバイナンスが「T3+グローバル協力プログラム」に参加したことで、ブロックチェーン上の犯罪に対する協力体制はさらに強化された。この動きは、業界全体でセキュリティ対策を重視する姿勢の表れと言えるだろう。

今回の成果は、仮想通貨業界が自主規制能力と説明責任を果たせることを示す画期的な出来事だ。業界主導の積極的な対策は、規制当局との建設的な対話を促進し、信頼関係を構築する上で重要な意味を持つ。

専門家は、T3 FCUのモデルが他のプロジェクトの模範となり、より安全なデジタル金融エコシステムの実現に貢献する可能性があると指摘している。

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