USDT発行元テザーが金融大手のHSBCから金トレーダーを招聘。金準備拡大で地金市場への本格参入を目指す動きが注目される。
ステーブルコインUSDTの発行元であるテザー・ホールディングスは11日、金準備の拡大計画の一環として、金融大手HSBCから幹部2名を採用したと報じられた。
金融大手から専門家引き抜き、金市場へ本格参入
ブルームバーグの報道によると、テザーはHSBCの金属取引グローバル責任者であるヴィンセント・ドミアン氏と、欧州・中東・アフリカ地域の貴金属部門責任者マシュー・オニール氏を採用する。
関係者によれば、両氏はすでにHSBCで退職手続き期間に入っており、数カ月以内にテザーに合流する予定だという。
この動きは、テザーが豊富な資金力を活用し、巨大な金準備を構築することで、既存の地金市場プレーヤーに挑戦する戦略の一環とみられる。
テザーは、ステーブルコインUSDTの背後にある企業だ。同社は監査を受けていないものの、2025年9月末時点で129億ドル分の金を保有していると証明書で報告している。加えて、99億ドル相当のビットコイン(BTC)や約1350億ドルの米国債も保有している。
金価格高騰と市場の変化が背景に
テザーの動きは、金価格がロンドン市場で3週間ぶりの高値を更新する中で明らかになった。金価格は1トロイオンスあたり4100ドル前後で取引されている。
バンク・オブ・アメリカやゴールドマン・サックスなどの大手金融機関は、2026年の金価格予測を相次いで引き上げている。JPモルガン・プライベート・バンクは、2026年末までに5200ドルから5300ドルに達する可能性があると予測する。
スイス金融大手のUBSの分析では、政情不安や世界的な政府債務の増加、米連邦準備制度理事会による金融緩和への期待などが金価格を支えていると指摘されている。
市場では、シティグループやモルガン・スタンレーなどの伝統的な金融機関も地金サービスを拡大する動きを見せている。
テザーはすでに4年前、エルサルバドルの法律に基づき、イーサリアムブロックチェーンを利用した、テザーゴールド(XAUT)を発行している。このトークンの時価総額は15億ドルから21億ドルに達するとされる。
テザーが伝統的な金融市場の専門家を迎え入れ、物理的な金市場での存在感を高める動きは、業界の大きな変化を象徴している。
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