
暗号資産(仮想通貨)ライター。2020年からビットコインを購入し、NFT、DeFi、Web3ゲームなど多岐にわたる分野に興味があり、自身の経験をブログでも発信。
トロン(TRX)ネットワークは2025年、主要なステーブルコインであるテザー(USDT)の供給量において、競合のイーサリアムを上回り、暗号資産(仮想通貨)市場における主導的な地位を確立した。
ICYMI: The supply of @Tether_to's USDT on @trondao surpasses $80 billion.
USDT on TRON has added ~$20 billion in new supply since the start of the year. pic.twitter.com/QaLQq4e4h3
— Token Terminal 📊 (@tokenterminal) June 23, 2025
複数の調査レポートにより、トロンの優位性が揺るぎないものとなっている実態が明らかになった。この急速な台頭は、同ネットワークが提供する技術的な優位性と戦略的な採用に起因する。
AInvestが発表したレポートを含む複数の調査によると、2025年半ばの時点でトロンネットワーク上のUSDT供給量は808億ドルに達し、イーサリアムの738億ドルを大きく凌駕した。
AInvestの報告では、トロンのUSDT供給量が6月には800億ドルを突破し、世界市場シェアの63%を占めるに至ったことが強調されている。
トロンがステーブルコイン市場で圧倒的な地位を確立した背景には、その技術的な優位性がある。
特に、1回の送金あたり約0.01ドルという極めて低い手数料と、高い処理能力は、少額決済が頻繁に行われるステーブルコインの利用シーンにおいて決定的な魅力となっている。さらに、トロンは2025年8月に手数料を60%削減する措置を講じ、利用者層の拡大をさらに加速させた。
また、ネットワークアクティビティの75%を占めるガス代無料モデルも、ユーザーと開発者双方にとって大きな利点だ。
こうした利便性の高さから、海外仮想通貨取引所のバイナンスは、1日あたり30億ドルを超えるUSDTの送金にトロンネットワークを主導的に活用している。
エコシステムの成長も著しく、DeFiプロトコルのJustLendは、トロンのDeFi市場全体の62.5%の流動性を保持し、ネットワーク全体の活性化に貢献している。
USDT供給量の増加は、トロンのエコシステム全体を飛躍的に成長させた。7月のレポートでは、トロンのアクティブアカウント数が3億2,000万に達したことが報告されている。
日次のUSDT取引量においても、トロンは246億ドル以上を処理しており、これはイーサリアムの2倍以上の規模に相当する。
ステーブルコイン市場全体も2025年上半期に2,040億ドルから2,520億ドルへと拡大しており、トロンがその成長の牽引役を果たしたことは疑いない。
一方で、トロンのエコシステム内では、特定のプロトコルに流動性の89.3%が集中しているという現状があり、これは市場のシステミックリスクに対する懸念を生じさせている。
特に、米証券取引委員会(SEC)による仮想通貨規制強化の動きが活発化する中、この集中リスクは引き続き注視が必要な要素となる。
トロンが確立した市場支配が、今後のイーサリアムの動向や、より広範な仮想通貨業界全体に与える影響は、今後の市場の勢力図を占う上で重要な焦点となる。
Disclaimer: Coinspeakerは公平で透明性の高い報道に努めています。この記事は正確かつタイムリーな情報提供を目的としていますが、投資助言ではありません。市場状況は急速に変化するため、投資判断の前に情報確認と専門家への相談を強く推奨します。
暗号資産(仮想通貨)ライター。2020年からビットコインを購入し、NFT、DeFi、Web3ゲームなど多岐にわたる分野に興味があり、自身の経験をブログでも発信。