イングランド銀行、ステーブルコイン規制で米国に追随

イングランド銀行がステーブルコイン規制案を発表。米国と同様の枠組みを採用し、個人2万ポンド・法人1000万ポンドの上限を検討。

星 瑞希 By 星 瑞希 黒川 理佐 Editor 黒川 理佐 Updated 1 min read
イングランド銀行、ステーブルコイン規制で米国に追随

Key Notes

  • イングランド銀行は、個人に2万ポンド、法人に1000万ポンドの一時的な保有上限を設けるステーブルコイン規制案を計画している.
  • この厳格な措置は、商業銀行が住宅ローン市場で中心的な役割を果たす英国独自の金融システムを保護するためである.
  • 英国は米国の規制導入ペースに合わせ、2026年末までの完全実施を目指しており、国際的な競争力を維持する狙いがある。.

イングランド銀行は5日、ステーブルコイン規制の導入において米国に遅れを取らない方針を明らかにした。同行のサラ・ブリーデン副総裁が、規制導入の遅れに対する懸念に応える形で述べた。

ステーブルコイン規制案の概要と背景

イングランド銀行は2025年11月10日に、ステーブルコイン規制に関する正式な協議文書を発表する予定だ。ブルームバーグの報道によると、この規制案には金融安定性への配慮から、一時的な保有上限が盛り込まれている。

具体的には、個人に対して2万ポンド、法人に対して1000万ポンドの上限が設定される見込みだ。イングランド銀行は、これらの上限は移行措置であり、ステーブルコインが銀行業務や住宅ローン供給に与える影響への懸念が薄れ次第、撤廃する方針を示している。

この動きは、英国の金融行動監視機構(FCA)が先に発表した協議文書CP25/14に続くものだ。同文書では、単一の法定通貨に連動し、英国内で発行される適格ステーブルコインの規制基盤が示された。

規制はイングランド銀行とFCAによる二重監督体制となるが、現時点ではステーブルコインを英国の決済規制に組み込むことは見送られている。

英国独自の規制と国際的な動向

ブリーデン副総裁は、英国と米国の金融システムの違いが規制アプローチの背景にあると指摘した。同氏は「英国では商業銀行から住宅ローンを借りるが、米国では市場から資金調達される。そのため、ステーブルコインへの移行期における上限設定の必要性は、米国よりも英国の方が高い」と説明している。

イングランド銀行は貨幣の単一性の維持を重視している。これは、規制された発行者による1ポンドが、商業銀行や中央銀行が発行する1ポンドと同価値であることを保証する考え方だ。この方針は、米国の法案やEUの暗号資産(仮想通貨)市場規制法よりも厳格なものとなる。

イングランド銀行は、このような厳しい上限設定に対する業界からの懸念を認識しつつも、移行期には不可欠であるとの立場を崩していない。一方で、仮想通貨取引所など正当な理由で多額のステーブルコインを保有する必要がある事業者については、例外措置を検討していると報じられている。

金融安定性を維持しつつエコシステムを支援するため、イングランド銀行は補完的な仕組みも開発中だ。これには、発行者が償還要求に応じられるよう流動性を確保する制度や、裏付け資産の一部を短期英国債で運用し収益を得ることを許可する案が含まれる。

議会の承認を経て2026年に最終規則が公表され、同年中に完全実施される見通しだ。

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星 瑞希

2020年よりブロックチェーン領域への投資をスタート。現在は「Coin Speaker」にて専属ライター兼暗号資産アナリストとして活動中。

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