米政府機関閉鎖の解消期待を受け、ビットコインは10万6000ドル台まで回復。リスク選好の改善が仮想通貨市場全体を押し上げる。
米国上院は9日、41日間に及ぶ政府機関の一部閉鎖を解除するための法案審議を前進させる手続き上の採決を可決した。
これを受け、市場のリスク選好が改善し、暗号資産(仮想通貨)市場は上昇した。ビットコイン(BTC)は主要な抵抗線である10万6000ドルを回復。イーサリアム(ETH)も3600ドルを突破し、市場の信頼回復を示した。
米政府は2025年10月1日、歳出法案未成立により一部機関を閉鎖し、史上最長となった。閉鎖当初、ビットコインは12万6080ドルの史上最高値を記録したが、閉鎖長期化に伴い勢いを失っていた。
ETF承認への期待と市場心理の改善
上院の動きは、市場のリスクセンチメントを大幅に改善させた。2018年から2019年にかけての政府閉鎖時にも、機関再開後にビットコイン価格が急回復した歴史がある。当時、価格は約3500ドルから半年で1万4000ドル近くまで上昇した。
今回の決議は、SECの業務上の制約も解消する。閉鎖中は限定的な機能で運営されており、仮想通貨関連の申請処理が滞っていた。
政府機関の再開により、現物ETFの門が開かれるとの期待が高まっている。これにより、SECは遅延していた多くの仮想通貨ETF申請の審査を再開できる見通しだ。
市場の反応は、トランプ大統領が同時期に提案した景気刺激策によって増幅された。関税収入を財源とする2000ドルの現金給付は、約6000億ドル規模の経済注入となる可能性がある。
機関投資家の関与と市場全体の動向
今回の仮想通貨市場の反応は、過去の閉鎖時と比較して、より強い機関投資家の関与を示している。決議に先立つ1週間で、ビットコインETFには12億ドル以上の資金流入が記録された。
このニュースを受け、ビットコインキャッシュ(BCH)も2.3%上昇し、512ドルに達した。
大手取引所バイナンスの現物市場では、取引高が1604万ドルに達し、機関投資家と個人投資家の関心が再燃していることを示した。
市場データによると、デリバティブ市場では建玉が9%増加し、ボラティリティの上昇が見られる。効果的な仮想通貨投資を行う上で、主要取引所でのプラスの資金調達率は、強気のセンチメントが根強いことを示唆している。
今回の政府閉鎖を巡る交渉の大きな争点の一つは、医療保険関連の給付延長だった。上院の予算案には、民主党の懸念に対応する主要な医療保険の適用免除を延長する条項が含まれており、超党派の合意形成につながった。
政府の不確実性が解消されたことで、リスク資産全般へのセンチメントが改善した。この動きはビットコインだけでなく、デジタル資産のエコシステム全体に恩恵をもたらしている。
next