米イーサリアムETF市場は累計純流入額が40億ドルを突破。グレイスケールからの40億ドルを超える資金流出も乗り越えた。
米国の現物イーサリアムETF(上場投資信託)市場はこのほど、累計純流入額が40億ドルを突破した。この成果は、グレイスケール社のETFから40億ドルを超える大規模な資金流出があったにもかかわらず達成された。
グレイスケールのETFが苦戦
現物イーサリアムETFは2024年7月、米証券取引委員会(SEC)によって承認された。これには、信託から転換したグレイスケールのETHEや、ブラックロック、ビットワイズなどの新規商品が含まれる。
これにより、投資家は間接的な手段ではなく、イーサリアムそのものに直接アクセスできるようになった。
しかし市場では、グレイスケールのETFであるETHEからの資金流出が注目を集めた。
ETHEファンドは2017年の設立以来、イーサリアムの供給量の約2.2%を保有する支配的な地位にあった。
しかしファンドはETFへ転換後、競合他社より高い2.5%の経費率が嫌気され、大規模な資金流出に見舞われた。
2024年8月初旬には12億ドルが流出するなど、運用資産総額は100億ドルから75億ドルにまで減少した。
この流出は一時的にイーサリアムの価格にも下押し圧力となり、ETF保有高と暗号資産(仮想通貨)市場の連動性を浮き彫りにした。
低手数料ETFの台頭
一方で、ブラックロックのETHAやビットワイズのETHWといった、より低い経費率を提示する新規ETFが資金流入を牽引した。
これらの商品はETHEから流出した資金の受け皿となり、市場全体の成長を支えた形だ。
また、SECが仮想通貨関連のETF承認に前向きな姿勢を示したことも、市場の多様化を後押しした。
さらに、先行するビットコインETFの成功もこの流れに影響を与えた。
2025年半ばには合計8本の現物イーサリアムETFが承認され、投資家の選択肢が拡大した。結果として、ETHEの流出分を補って余りある資金が市場全体に流入し、累計40億ドル超の純増を達成している。
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