原油とビットコインに1対1で投資するUSCFの新ETFがNYSE Arcaで取引開始。相関性の低い2市場に同時投資できる点が特徴となる。
米金融サービス大手のマリーゴールド・カンパニーズ傘下であるUSCFインベストメンツは15日、原油とビットコインの先物を組み合わせた新たなETFの提供を開始したと発表した。
原油とビットコインのデュアル戦略
今回ローンチされた「USCF Oil Plus Bitcoin Strategy Fund(WTIB)」は、ニューヨーク証券取引所Arcaで取引が開始された。
このETFはアクティブ運用型であり、原油先物契約とビットコイン先物契約の両方を組み入れることで、二つの市場へのアクセスを提供する。
最大の特徴は、投資額1ドルに対して原油市場に約1ドル、ビットコイン市場に約1ドルのエクスポージャーを配分する点だ。結果として、純資産に対して合計200%のレバレッジ効果を持つことになる。
投資対象には標準的な先物契約だけでなく、より小規模なマイクロ先物契約も活用される。具体的には、原油マイクロ先物は標準契約の10分の1、ビットコインマイクロ先物は50分の1のサイズとなっている。
また、ビットコイン関連の上場取引型金融商品(ETP)も投資対象に含まれる場合がある。このファンドは特定のベンチマーク指数には連動せず、積極的な運用方針を採用している。
相関性の低さを活かした投資手法
USCFのジョン・ラブ社長兼CEOは、このファンドが投資家の分散投資ニーズに応えるものだと強調した。
同氏は「多くのレバレッジ型ETFは単一資産のリスクを拡大させる傾向があるが、WTIBは相関性の低い2つの市場を組み合わせている」と述べており、ビットコイン下落時のリスクヘッジとしても機能する。
投資家は原油かビットコインかの二者択一を迫られることなく、同一の資金で両方の資産クラスに投資できる。このアプローチは、エネルギー市場と暗号資産(仮想通貨)の歴史的な相関の低さを利用したものだ。
マリーゴールド・カンパニーズのニコラス・ガーバーCEOも、この新商品が同社の金融サービス事業の拡大を示すものだとコメントした。
2024年のSEC承認によりビットコイン先物ETFが可能となった規制環境が、この商品の実現を後押ししている。マイクロ先物の活用で個人投資家の参入障壁も下がり、小口での分散投資が可能となった。
運用体制と市場への影響
WTIBは現物ビットコインを保有せず、先物やETPを通じて価格変動へのエクスポージャーを得る。通常の市場環境下では、原油戦略とビットコイン戦略への配分がそれぞれ純資産の約100%になるよう調整される。
USCFの公式ページによると、ファンドは日次でリバランスを行い、1対1のエクスポージャー比率を維持する方針だ。
USCFは現在、総額30億ドル以上の運用資産を管理しており、本ファンドは同社初の仮想通貨関連ETFとなる。この商品は、単一の商品(コモディティ)に特化したレバレッジ型ファンドとは一線を画すものだ。
短期的な戦術的ポジション構築や効率的な資産配分を目指す投資家にとって、従来の仮想通貨投資よりリスクを抑えた新たな選択肢となる。
next