イーサリアム創設者ブテリン氏、仮想通貨とAIの統合論を公表

ブテリン氏がイーサリアムとAIの統合に関する見解を更新。無差別な加速主義に反対し、人間の自由と安全を優先する方向性を提示。

林田 博美 By 林田 博美 倉元 大智 Editor 倉元 大智 Updated 1 min read
イーサリアム創設者ブテリン氏、仮想通貨とAIの統合論を公表

Key Notes

  • ブテリン氏は無差別なAGI開発に反対し、暗号技術とAIを統合した人間中心のアプローチを提唱.
  • イーサリアムをAIの経済基盤と位置づけ、プライバシー保護や信頼最小化ツールの開発を重視する.
  • AIを活用して予測市場や分散型ガバナンスを強化し、人間の判断能力を補完する構想を示した.

イーサリアム(ETH)のヴィタリック・ブテリン共同創設者は10日、暗号資産(仮想通貨)とAIの統合に関する新たな論考を公表した。

ブテリン氏は、汎用人工知能(AGI)の開発競争における無差別な加速に懸念を示し、技術の進化を盲目的に追い求めるのではなく、暗号技術とAIの価値観を深く統合させるd/acc(防御的加速)の重要性を提唱した。

人間の自由や安全、分散型協力を促進するこのアプローチは、AI開発を単なる早い者勝ちの競争と捉える風潮へのアンチテーゼであり、社会からの疎外や制御不能なリスクを防ぐための羅針盤となるものだ。

盲目的な加速ではなく正しい方向の選択を

ブテリン氏は、現在のAI開発競争において支配的な「先に開発した者が勝者となる」という認識を誤解であると指摘する。重要なのは速度そのものではなく、技術が向かう方向性の選択だ。

同氏は約2年前の自身の考察を引用しつつ、より洗練された概念として今回の分析を提示した

AIとブロックチェーンの統合は、単なる技術的な連携にとどまらず、中央集権的な権力構造への対抗策としても機能する。

イーサリアムの暗号技術が持つ分散化の精神をAI開発に取り入れることで、特定の企業や国家による独占を防ぎ、より民主的で安全なデジタル社会の構築を目指すべきだと論じている。

AIのための経済基盤とプライバシーの確立

具体的な統合の方向性として、ブテリン氏はまず、信頼不要かつプライバシーに配慮したAI対話ツールの開発を挙げた。

これには、ローカル環境で動作する大規模言語モデル(LLM)や、匿名性を担保するゼロ知識証明(ZK)を活用したAPI決済が含まれる。

これはイーサリアムのプライバシーロードマップをLLMの計算領域へ拡張するものと位置づけられ、サーバー側の保証をクライアント側で検証する仕組みによって、セキュリティの大幅な強化が見込まれる。

さらに、イーサリアムをAIのための経済基盤として機能させる構想も示された。AIエージェント同士がAPIを通じて連携し、ボット間の雇用関係やオンチェーンでの紛争解決を行う未来だ。

イーサリアムがAIにとってのネイティブな経済圏となることで、Web3エコシステムは新たな段階へと進化する可能性がある。

サイバーパンクな自己検証とガバナンスの拡張

ブテリン氏は、LLMが人間の検証能力の限界を補完する「サイバーパンク的な自己検証世界」というビジョンも描いている。

ユーザーは第三者のインターフェースに依存せず、ローカルモデルを用いてスマートコントラクトの監査や取引の検証を行うことが可能になるという。これにより、信頼を必要としない純粋な相互作用が促進される。

また、AIを活用して人間の判断能力を拡張し、予測市場やDAO(分散型自律組織)などのガバナンス機構を再構築する可能性にも言及した。

なお、ブテリン氏は今回の論考の中で、イーサリアムの領域を金融や計算のみに限定するソラナ(SOL)のアナトリー・ヤコヴェンコ共同創設者の見解に対し、より広範な社会的役割を担うべきだとする対照的な姿勢を鮮明にしている。

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林田 博美
Coinspeakerエディター 林田 博美

Coinspeaker Japanライター。2021年頃から仮想通貨、ビットコイン投資をスタート。ブログ運営しながら、暗号資産に関する知識を深め、最新テクノロジーも勉強。仮想通貨の大手メディアで多数記事を執筆。専門分野は仮想通貨全般に加え、WEB3やNFTなど。

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