ウィズダムツリーがチェーンリンクと提携し、トークン化ファンドの純資産価値をイーサリアム上にオンチェーン化。透明性の向上を図る。
資産運用大手のウィズダムツリーは5日、同社のトークン化ファンドの純資産価値(NAV)データをイーサリアム(ETH)のメインネット上で提供するため、チェーンリンクと提携したと明かした。
この提携は、1300億ドル以上の資産を運用する同社が、ブロックチェーン技術を自社の金融商品に統合する戦略的な動きの一環である。対象となるのは、2025年9月12日にローンチされた「ウィズダムツリー・プライベートクレジット・アンド・オルタナティブ・インカム・デジタルファンド(CRDT)」だ。
公式発表によると、規制下にあるトークン化ファンドのオンチェーンNAV価格フィードの採用は、その進化における重要な節目となる。ウィズダムツリーは、今回の提携がCRDTから始まり、将来的には他のトークン化ファンドへも拡大する計画であることを示している。
機関投資家の需要に応える透明性の向上
今回の提携は、発展途上にあるトークン化資産市場における重要な課題、特に透明性と信頼性の高い価格決定メカニズムへの需要に応えるものである。
チェーンリンクは主要な指数提供者との協業実績があり、信頼性の高いオラクルネットワークとして定評があるため、ウィズダムツリーの機関投資家向けの要件を満たす戦略的パートナーとなった。
この統合は、デジタル資産市場において適切な意思決定に不可欠な、リアルタイムで正確なNAV情報を求める機関投資家の高まる需要に直接対応する。
金融市場がブロックチェーン技術の採用を進める中で、伝統的な金融機関が取引プラットフォームとオンチェーン環境を接続しようとする、より広範な業界の動向とも一致している。
この動きは、規制された金融商品がブロックチェーンエコシステムに円滑に統合され、現実世界の利回り機会を解放できることを示している。
スマートコントラクトとの連携で広がる可能性
この統合を通じて、CRDTは分散型オラクルネットワークを利用した自動化されたオンチェーンでのNAV配信や、暗号技術によって検証可能で公的に監査できるファンド価格データのオンチェーンでの直接アクセスといった利点を得る。
これにより、スマートコントラクト内で価格データが利用可能となり、DeFiやデジタル資産プラットフォーム間での統合が促進され、新たな相互運用性の機会が生まれる。
ウィズダムツリーのメレディス・ハノン デジタル資産事業開発責任者は、「このインフラを活用することで、トークン化された現実世界資産の透明性とデータ完全性を高め、オンチェーン金融市場全体の成長を支援する」と述べた。
チェーンリンクの共同創設者であるセルゲイ・ナザロフ氏も、「ウィズダムツリーがトークン化プライベートクレジットファンドでチェーンリンクを本格稼働させたことをうれしく思う」とコメントした。
イーサリアム上で直接記録される検証済みのNAVデータは、透明性を高め、DeFiや機関投資家向けプラットフォームのスマートコントラクトとの円滑な統合を可能にする。この協力は、伝統的な金融とブロックチェーン技術を繋ぐ重要な一歩となる。
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