トランプ家関連のDeFiプロジェクトWLFIが、トークン価格急落を受け市場操作を疑い、ジャスティン・サン氏のアドレスを凍結した。
トランプ米国大統領一家との関連が報じられているWorld Liberty Financialは6日、WIFIトークン価格の急落を受け、市場操作の疑いがあるとして複数のウォレットアドレスをブラックリストに追加したことを明らかにした。
We’ve heard community concerns about recent wallet blacklists. Transparency first: WLFI only intervenes to protect users, never to silence normal activity. 🦅
— WLFI (@worldlibertyfi) September 5, 2025
トークン価格の急落と市場操作疑惑
WLFIは、1日にローンチされた暗号資産(仮想通貨)のプロジェクトである。
そのトークンはデビュー後に極端な価格変動を経験した。
WLFIトークンはローンチ当日に0.47ドルまで急騰したが、その後急速に下落した。
5日までに週間最安値の0.1611ドルを記録し、最高値から61%も価値を失った。
この価格崩壊について、WLFIのグロースリードであるライアン・ファン氏は、大口保有者や中央集権型取引所による市場操作が原因であるとの見方を示した。
同氏によると、これらの主体がユーザーのトークンを流動性の高い取引所に移動させて大量売却を行い、大規模な空売りポジションを構築して価格を人為的に押し下げたと疑われている。
WLFIは具体的な証拠はないと認めつつも、コミュニティ内で不正な取引パターンに関する懸念が繰り返し提起されていたことを理由に挙げている。
ジャスティン・サン氏のアドレス凍結とガバナンス論争
市場操作の疑惑が深まる中、WLFIは5日、仮想通貨起業家であるジャスティン・サン氏のウォレットアドレスをブラックリストに追加するという強硬策に踏み切った。
この措置は、サン氏のウォレットから5000万WLFIが送金された直後に行われた。
ブロックチェーン分析企業のArkham Intelligenceによると、ブラックリスト化された後もサン氏のウォレットには5億4510万WLFIが保有されている。
WLFIは、過去1週間でサン氏以外にも272のアドレスを不正操作の疑いでブラックリストに追加したことを明らかにした。
この資産凍結という中央集権的な手法は、DeFiの理念に反するとして大きな論争を巻き起こしている。
特に、ポリゴンのブルーノ・スクヴォルツ開発者が、自身のウォレットが高リスクと見なされ資産が凍結されたとしてWLFIを窃盗だと公に非難したことで、批判はさらに強まった。
インサイダーによる売却やトランプ家との関連も、このDeFi ガバナンスの問題を複雑にしている。
プロジェクトの対応と今後の見通し
WLFIは信頼回復に向けた対応に追われている。
6日には、トークンの希少性を高める目的で4700万WLFIのトークンバーンを実施した。
しかし、アナリストからは信頼が崩壊する中での長期的な効果を疑問視する声も上がっている。
一方で、ブラックリスト化の根拠について、WLFIは詐欺対策などを引用したコンプライアンス・プロトコルに基づくと主張しているが、規制機関がこの措置を検証したわけではない。
トランプ家との関係性も事態を複雑にしており、仮想通貨プロジェクトにおける政治とビジネスの利益相反を懸念する見方も出ている。
WLFIの対応にもかかわらず、トークン価格はローンチ時から60%下落したままであり、ユーザー資産の凍結は米国の証券法に違反する。
このような中央集権的な管理手法は、仮想通貨詐欺の議論を呼ぶこともあり、米証券取引委員会(SEC)から今後規制当局による調査が入るリスクも指摘されている。
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