Backed FinanceのxStocksがイーサリアムに進出。エヌビディアなど約60銘柄をトークン化し、現実資産のブロックチェーン活用を拡大。
Backed Financeが開発するトークン化株式商品xStocksは2日、イーサリアム(ETH)ブロックチェーン上でのサービスを開始した。
同社は公式発表で、エヌビディアやアマゾン、テスラなど約60の主要株式をトークン化したと説明している。
これらのトークンは、原資産と1対1で裏付けられたERC-20トークンとして発行される。
Hello, Ethereum.
xStocks are coming to Ethereum Mainnet, one of the world’s largest and most reputable blockchains with over $500b in assets secured, millions of users and thousands of apps.
The standard for tokenized equities, going everywhere. pic.twitter.com/ScEiBaHG1h
— xStocks (@xStocksFi) September 2, 2025
4つ目のチェーンに
xStocksが対応するブロックチェーンは、ソラナ(SOL)、BNBチェーン、トロン(TRX)に続き、イーサリアムで4つ目となる。
イーサリアムへの実装により、DeFiアプリケーション内での「構成可能性」が向上する。ユーザーは、トークン化株式をレンディングプロトコルや分散型取引所と連携させることが可能になった。
今回のイーサリアム統合は、仮想通貨取引所クラーケンとの提携を通じて実現した。
利用者は、クラーケンと自己管理型ウォレットの間でトークンを移動させ、オンチェーンでの活動に利用できる。
これは現実資産(RWA)のトークン化における重要な進展であり、伝統的な金融資産をブロックチェーン上でデジタル表現するプロセスを指す。
イーサリアム進出の背景にあるDeFi市場
今回の拡大には、いくつかの要因が影響している。特に、イーサリアムが分散型金融(DeFi)分野で圧倒的な地位を築いている点が大きい。
2025年9月初旬時点で、イーサリアム上の預かり資産総額(TVL)は908億ドルに達し、ブロックチェーンエコシステム全体の60%を占めている。
クラーケンの担当者は「イーサリアムは世界で最も広く採用されているスマートコントラクトネットワークの一つであり、xStocksは利用者が既にいる場所でサービスを提供するために作られた」と述べた。
この動きは、競合他社の動向も意識したものだ。2025年6月にはジェミニがイーサリアム上でトークン化株式の取引を開始し、eToroも同様のサービスを検討していると報じられている。
現実資産トークン化への需要は著しく、xStocksは2025年6月の提供開始以来、中央集権型および分散型取引所で35億ドル以上の取引高を生み出した。
利便性の裏に潜む課題と規制の動向
トークン化株式市場は、279億ドル規模の現実資産トークン化市場の中で3億4,200万ドルを占めるまでに成長した。
しかし、法的な専門家は重要な制約や懸念点を指摘している。これらのトークン化株式は、議決権のような伝統的な株主権利を付与しない。また、規制の枠組みもまだ発展途上だ。
世界中の規制当局や証券取引所は、伝統的な市場には存在する投資家保護の仕組みが欠けている点を問題視している。
当局はトークン化資産に対するより明確な監督を求めており、xStocksは急速に変化する規制環境の中で運営されている。
今回のローンチは、伝統金融とブロックチェーン技術を繋ぐという機関投資家の関心の高まりを裏付けるものだ。
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