ZachXBT氏は米上院議員のWLFI調査に対し、根拠が薄弱で極一部の取引を理由に仮想通貨業界全体を規制するのは不当だとの見解を示した。
ブロックチェーンアナリストのZachXBT氏は19日、米上院議員らによる暗号資産(仮想通貨)プロジェクトWorld Liberty Financial(WLFI)への調査要求について、根拠が薄弱であるとの見解を示した。
米国のエリザベス・ウォーレン上院議員らは司法省に対し、WLFIに対する調査を公式に要請している。同議員らは、北朝鮮やロシアといった制裁対象に関連するウォレットとWLFIとの間に取引があった可能性を懸念している。
議員らの主張の根拠となっているのは、約1万ドル相当のWLFIトークンが、不正な資金源に関連するアドレスに販売されたという報告だ。
これには、過去にマネーロンダリングに関与したとして米当局から制裁を受けたトルネードキャッシュも含まれている。
0.0018%という数字の意味
ZachXBT氏は、議員らが指摘する不正資金の規模がプロジェクト全体に対して極めて小さい点を強調している。WLFIのトークン販売による調達総額は5億5000万ドルに上るため、問題視された1万ドルはわずか0.0018%に過ぎない。
同氏は、このような極一部の取引を理由に企業全体を規制対象とすることは不当であると主張した。銀行などの既存金融機関においても、完全にゼロリスクで運営することは不可能であり、この割合は誤差の範囲内であるとの見方が示されている。
ZachXBT氏は比較対象として、ウォーレン議員が過去に主張した自身の家系に関する論争を引き合いに出した。同議員のDNA検査結果におけるネイティブアメリカンの血統がごくわずかであったことを、今回の不正資金の比率に重ねて皮肉っている。
規制のあり方と業界への波及
今回の批判の背景には、規制当局が些細な問題を口実に仮想通貨業界全体への締め付けを強めることへの警戒感がある。ZachXBT氏は、もしWLFIへの措置が正当化されれば、Hyperliquidなど他のプラットフォームも同様の標的になり得ると警告した。
また、同氏は自身がWLFIトークンを保有しておらず、トークン販売にも参加していないことを明確にしている。特定のプロジェクトを擁護する意図はなく、あくまで規制当局の手法に対する問題提起であることを強調した。
この出来事は、仮想通貨業界と規制当局との間の緊張関係を改めて浮き彫りにしている。適切なコンプライアンスと過度な監視のバランスをどこに置くべきか、今後の議論に影響を与える可能性がある。
また、透明性の高いブロックチェーン技術の特性上、今後も同様の事例が指摘される可能性は否定できない。
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