ナスダック上場のBit Digitalは、株式追加発行で約235億円を調達し、イーサリアムの財務準備金を構築する。保有BTCをETHに転換する。
ナスダック上場の暗号資産(仮想通貨)企業Bit Digital(BTBT)は2日、株式の追加発行を通じて1億6,290万ドルを調達し、イーサリアム(ETH)の財務準備金の構築計画を明らかにした。
同社は調達した資金を活用し、保有するビットコイン(BTC)をイーサリアムへ転換する計画だ。
この動きは、ビットコインマイニング事業からイーサリアムのステーキングおよび財務管理へと事業の軸足を移すという、同社の戦略的な方向転換を明確に示している。
イーサリアムへの戦略的転換
Bit Digitalは2025年3月31日時点で、24,434.2 ETHと417.6 BTCを貸借対照表に計上していた。
今回の資金調達は、8,625万株の公募増資によるもので、B. Riley Securitiesが幹事を務めた。
同社は、市場のボラティリティを避けるため、保有するビットコインを段階的に売却し、イーサリアムを購入する方針を示している。
この決定は、企業の準備資産としてビットコインだけでなくイーサリアムを保有する動きが広がりつつあることを反映している。
BTCマイニングからETHステーキングへ
この戦略転換の背景には、まずイーサリアムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ移行したことで、ステーキングによる利回りへの機関投資家の関心が高まっていることが挙げられる。
また、ビットコインマイニングは市場の変動や規制環境の変化により、収益性が低下していた。
Bit Digitalは2022年からイーサリアムのステーキング基盤を開発しており、2025年第1四半期には、ステーキングによる収益が事業コストを相殺するまでに成長した。
この成功が、資本集約的なマイニングから、より安定した収益が見込めるステーキングへの移行を後押しした形だ。
今後の展望とリスク
今回の株式発行は、既存株主の間で希薄化への懸念を引き起こし、同社の株価は4%下落した。
また、ビットコインからイーサリアムへの資産転換は、二つの主要な仮想通貨に対する価格変動リスクを抱えることになる。
Bit Digitalは、新たにイーサリアムを取得する具体的な時期については明らかにしていないが、今後も財務準備金の拡大を目指すとしている。
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