機関投資家によるビットコインETFを利用した裁定取引が縮小。現物と先物の価格差縮小により、CMEの先物建玉は100億ドルを割り込んだ。
機関投資家によるビットコインETFを活用した裁定取引はこのほど、縮小傾向にあるとブルームバーグが報じた。
報道によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)におけるビットコイン先物の未決済建玉が減少。建玉総額は100億ドルを割り込んだ。これは2023年以来初めて、大手取引所バイナンスの規模を下回る水準となる。
この現象は、現物価格と先物価格の差を利用する「ベーシス取引」の収益性が低下したことが主な要因とみられる。
裁定取引の仕組みと市場変化
今回縮小が指摘されたのは、「キャッシュ・アンド・キャリー」と呼ばれる手法だ。
これはビットコインの現物ETFを購入すると同時に、先物契約を売ることで価格差を利益として得る戦略だ。
2024年1月に米国で現物ビットコインETFが承認されて以降、規制された環境下でこの取引が可能となり、多くの機関投資家が参入していた。
以前、この取引手法による年率リターンは5%から12%程度で推移しており、安定した収益源として人気を集めていた。
しかし、市場への参加者が増え、現物と先物の価格が連動性を強めたことで、利益の源泉となる価格差が狭まっている。
市場が成熟し効率化が進んだ結果、かつてのような高い利回りを維持することが難しくなった。その結果、大規模な資金を運用する機関投資家にとって、この戦略の魅力が相対的に低下しているようだ。
ビットコインの価格変動も低下
価格差の縮小は、ビットコイン市場におけるボラティリティの低下も反映している。
ETFの登場により市場の流動性が向上し、価格形成がより安定的になったことが背景にある。現物ETFとCME先物の価格基準が整合していることも、市場の効率性を高める要因となった。
専門家は、この傾向が市場の健全な成熟プロセスの一部であると分析している。
イーサリアム(ETH)など他の暗号資産(仮想通貨)でも、ETF承認後に同様のパターンが観測されているためだ。
今後、他の仮想通貨がETFとして承認された場合も、同様に流動性インフラが整備され、裁定取引の機会は徐々に縮小していくと予想される。
next