ブロックストリームはビットコインのサイドチェーン上で新言語Simplicityを公開。高度なスマートコントラクトを実現。
ブロックチェーン技術企業のブロックストリームは1日、ビットコイン(BTC)のサイドチェーンLiquid Network上で新しいスマートコントラクト言語Simplicityを公開した。
同社は2017年からビットコインScriptとイーサリアム仮想マシンを上回る性能を持つスマートコントラクト言語の開発に着手し、8年間の開発期間を経て実現に至った。
実行前に契約の正しさを数学的に証明できる正式検証機能により、金融アプリケーションに求められる高い信頼性を提供する。
安全性重視の8年間研究開発
Simplicityは、ブロックストリームのラッセル・オコナー博士が2012年に開発を開始した長期研究プロジェクトの成果である。
数学的手法を用いて厳密に仕様化され、その正確性が保証されている。
ブロックストリームのアダム・バック共同設立者は「ビットコインに表現力豊かなスマートコントラクト機能を提供するが、仮想マシンベースのチェーンに関連するセキュリティ問題は避けている」と述べている。
従来のチェーンとは異なり、ビットコインのUTXOモデルに沿ったステートレス設計を採用している。
再帰や無限ループ、グローバル変数といった高リスク機能を意図的に排除し、イーサリアム(ETH)のSolidityで見られる脆弱性を回避する設計となっている。
多様な金融アプリケーションへの応用
今回の公開により、プログラマブル・ボルト、ビットコインネイティブ・スマートバンク、分散型取引所(DEX)、閾値署名による機関向けカストディなど、多様な金融アプリケーションの構築が可能になった。
ブロックストリームのアンドリュー・ポエルストラディレクターは「他のエコシステムの複雑さを継承せず、表現力豊かなビットコインネイティブ・アプリケーションを可能にする」と説明している。
総額32億7000万ドルのTVLを誇るLiquid Networkでの展開により、将来的にはビットコイン本体のプロトコル改良を代替する可能性も指摘されている。
ビットコインエコシステム全体でより高度な金融サービスが構築される道筋が示された。
next