米国の対日韓追加関税発表を受け、ビットコイン価格が急落。10万8000ドルを割り込み、世界経済減速への懸念が市場に広がった。
暗号資産(仮想通貨)のビットコイン(BTC)は7日、価格が10万8,000ドルを割り込み、10万7,970ドルまで下落した。
これは、トランプ米大統領が日本と韓国からの輸入品に25%の関税を課すと発表したことを受けた動きである。
この発表は世界経済の減速懸念を強め、仮想通貨を含むリスク資産への信頼感を低下させた。これにより、ビットコインは11万ドル付近での保ち合い局面から転換し、主要な支持線を下抜ける展開となった。
地政学リスクとマクロ経済の圧力
関税発表前、ビットコインは数週間にわたり10万3,000ドルから10万8,000ドルの間で変動しており、11万500ドルが抵抗線として意識されていた。
7月4日には、通商政策への懸念や短期的な利下げ期待の後退から、価格は0.9%下落し10万8,933ドルを付けていた。
今回のトランプ大統領による関税措置は、これまでの中国との外交努力を覆すものであり、貿易戦争の長期化懸念を再燃させた。
地政学的不安に対するヘッジ資産と見なされることもあるビットコインだが、広範な経済的影響が予想され、即座に売りが優勢となった。
加えて、トランプ政権の税制・歳出計画による米国の財政赤字拡大リスクも、市場の不確実性を高める一因となっている。
一方で、市場ではビットコインETFの承認に関するニュースが材料視される場面もあり、マクロ経済と業界固有の要因が複雑に絡み合っている。
テクニカル分析と今後の見通し
テクニカル面では、ビットコインは過去1カ月間に形成されていた下降ウェッジパターンの支持線である10万8,000ドルを維持できず、弱気心理が強まった。ビットコインの将来性を占う上で、その基盤技術であるブロックチェーンへの理解は不可欠だ。
アナリストは、DMIやADXといったモメンタム指標の弱さも指摘しており、4時間足チャートでは上昇圧力が低下していることが示されている。
過去の事例として、2025年4月に関税が導入された際には、ビットコイン価格は7万8,000ドルまで急落した経緯がある。
この米国政策への敏感さが、今回の関税発表に対する市場の反応を増幅させたとみられる。
専門家は、さらなる価格下落が起きた場合、10万5,000ドル、あるいは市場の混乱が拡大すれば10万ドルまで下落する可能性もあると警告している。
トランプ大統領はインドやEUへの追加関税も示唆しており、市場は今後の動向を注視している。
next