USDCの発行元サークル社が、大手取引所バイビットと収益分配契約を締結した。USDCの普及を目指す戦略の一環とみられる。
ステーブルコインUSDCの発行元であるサークル社は9日、暗号資産(仮想通貨)取引所バイビットと収益分配契約を締結した。
この契約により、バイビットはサークルがUSDCの準備金運用で得た利回りの一部を受け取ることになる。
サークルはすでにコインベースと準備金利回りの50%を分配する契約を結んでおり、今回のバイビット提携は同様の戦略拡大の一環とみられる。
既存パートナーとの収益分配モデル
サークルは既存の主要パートナーと多様な収益分配モデルを構築している。
コインベースとの契約では、同取引所がUSDCの準備金利回りの50%を受け取る仕組みとなっている。
この長年にわたる取り決めは、USDC の業界全体への普及に大きく貢献してきた。
サークルのIPO申請書類によると、Binanceはサークルから前払い金として6025万ドルを受け取っている。
さらに同取引所では、プラットフォーム上のUSDC残高の割合に基づいた月次インセンティブも受け取っている。
この支払いは固定SOFR連動レートの中程度から高い2桁パーセントの範囲で設定されている。
バイビットとの契約の具体的な条件は明らかにされていないが、これまでの事例に沿った内容になると予想される。
ビットコイン(BTC)が11万ドル台で推移する現在の強気相場において、USDCは主要暗号資産との取引ペアとして重要な役割を果たしている。
取引所はサークルがUSDCの準備金運用で得た利回りの一部を受け取り、USDCの採用促進に向けたインセンティブを得る仕組みだ。
ステーブルコイン市場での競争激化とUSDCの位置
現在のステーブルコイン市場では、約1600億ドルの供給量を誇るテザー(USDT)が圧倒的な首位に立っている。
USDCの流通量は約620億ドルで、市場シェア26%を占める第2位の地位を維持している。
収益分配契約は、取引所にUSDCの取り扱いを優先させる強力なインセンティブとして機能する。
競争は一層激化しており、Robinhoodが支援するGlobal Dollar(USDG)など、収益分配モデルを組み込んだ新しい暗号資産(仮想通貨)プロジェクトも登場している。
仮想通貨インフラに詳しい関係者は「相当量のUSDCを保有する取引所であれば、サークルと何らかの契約を結んでいると考えるべきだ」と述べた。
この戦略が業界全体で標準的な慣行となっていることを示唆している。
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