AIインフラ企業コアウィーブは、ビットコインマイニングを手掛けるコア・サイエンティフィックを90億ドルで買収。
AIインフラ企業のコアウィーブは7日、ビットコインマイニングを手掛けるコア・サイエンティフィックを90億ドルの全株式交換取引で買収することを明らかにした。
この買収により、コアウィーブはAI開発の基盤となるデータセンターインフラを大幅に強化し、リース費用の削減と運用効率の向上を図る。
取引は2025年第4四半期に完了する見込みで、コア・サイエンティフィックの株主は保有株式1株につきコアウィーブのクラスA株式0.1235株を受け取る。
この買収は規制当局およびコア・サイエンティフィックの株主による承認が条件となる。
垂直統合でコスト削減、年間735億円の効果
今回の買収により、コアウィーブはコア・サイエンティフィックが全米に保有する1.3GWの総電力容量を有するデータセンターの所有権を獲得する。
さらに、1GW以上の拡張能力も手に入れることになる。
コアウィーブのマイケル・イントレーターCEOは、コア・サイエンティフィックの高性能データセンターインフラの所有権を垂直統合。
運用効率を大幅に向上させ、将来の拡張リスクを軽減し、成長軌道を確実なものにすると述べた。
同社は第三者からのリース契約により、今後12年間で100億ドル以上の間接費を支払う予定だったが、今回の買収でこれを解消する。
合理化された運用により、2027年末までに年間5億ドルのコスト削減を見込んでいる。
ビットコインマイニングからAIへの業界転換
コア・サイエンティフィックは、もともとビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)のマイニングを主力事業としていた企業だ。
しかし、新しい仮想通貨市場の低迷を受けて経営破綻し、2024年1月に連邦破産法第11条の適用から脱却した経緯を持つ。
再建計画の一環として、同社は事業の軸足をAIワークロードへと転換していた。
コア・サイエンティフィックのアダム・サリバンCEOは「AIで革新する企業向けの世界クラスのインフラの可用性を加速し、株主に最大の価値を提供する」と述べた。
同社の施設は、高熱を発する高密度なAI処理に不可欠な液体冷却技術を備え、高い稼働率を誇る。
コアウィーブは買収後、コア・サイエンティフィックの仮想通貨マイニング事業を高性能コンピューティング用途に転用するか、売却する可能性がある。
発表を受け、コアウィーブ株は3%下落し、コア・サイエンティフィック株は約18%下落した。
これは、市場が統合に伴うリスクや相乗効果について慎重な姿勢を示していることを反映している。
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