企業やETFによるイーサリアム保有量が、総供給量の10%を超えたことが判明。機関によるETH戦略が加速している。
企業や現物ETFが管理するイーサリアム(ETH)の総量はこのほど、循環供給量の10.31%にあたる1,248万ETHに達した。
この動きは、イーサリアムが機関投資家の準備資産として採用される上で、重要な節目となる。
過去に見られたビットコイン(BTC)の企業による蓄積トレンドが、イーサリアムでも起きている形だ。
機関投資家によるイーサリアム保有拡大
StrategicETHReserveのデータによれば、企業が保有するイーサリアムは約566万ETH(供給量の4.68%)、現物ETFが保有する量は約681万ETH(同5.63%)に上る。
これらの機関が保有するイーサリアム価値は、合計で約580億ドルに相当する。
主な保有企業としては、ビットマインが283万ETH、シャープリンクが83万9,000ETH、The Ether Machineが約50万ETHを保有している。
このデータは、イーサリアムが開発者中心のプラットフォームから、世界の金融機関のバランスシートに計上される資産へと進化していることを示している。
企業の準備資産としては、依然としてビットコインが最大で、約400万BTC(約5,000億ドル)が保有されている。
イーサリアムはこれに次ぐ2番手であり、3位にはソラナ(SOL)が約1,800万SOL(約40億ドル)で続いている。
「生産的資産」としての魅力が需要を牽引
機関投資家からの強い需要は、ETFへの資金流入からも見て取れる。2025年10月の米国イーサリアムETFへの純流入額は、6億2,140万ドルに達し、9月の2億8,570万ドルから倍増した。
同年8月には、39億ドルの流入を記録しており、機関の関心が持続していることがわかる。
イーサリアムが注目される背景には、その「生産性」がある。
ビットコインが「デジタルゴールド」として位置づけられる一方、イーサリアムはステーキングによって年間約3〜4%の利回りを得られる。
この点が、企業にとって魅力的な準備資産となっている。
シャープリンク社はこの好例だ。同社は2025年6月にイーサリアム準備戦略を開始し、わずか4ヶ月で保有量を倍増させた。
6月2日以降、イーサリアム保有による含み益は9億ドルを超えたと報告している。
同社のジョセフ・ルービン会長は、イーサリアムのレイヤー2ネットワークであるLineaでのステーキングが「機関にとって魅力的なリスク調整後利回り」を提供すると述べている。
シャープリンクは6日の発表で「バランスシート上に83万9,000ETHを保有し、負債はない」と強調し、イーサリアムを生産的かつ収益性の高い資産だと評価した。
一方で、供給量の10%以上が機関の手に集中することについて、一部のアナリストはイーサリアムの非中央集権性に与える影響を問題視する声も上がっている。
next